農家のための
税金コーナー
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養成講座Q&A
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昨年行ったオンラインの税対部員養成講座で出された質問と、その解答の紹介の3回目です。似たような事例の参考にしてください。
Q 国保税の法定減免は専従者控除前の金額で決まるが、収支報告に記入欄がないので市町村で見落としてしまうのではないか?
A 確かに住民税の申告書そのものには、専従者控除前の金額は記載されていません。しかし、住民税の申告では収支内訳書を添付することになっています。内訳書に専従者控除前の金額が記載されるので、見落とすことはないと思います。
Q 内職所得は55万円の経費が特別控除できるが、どこに記載するのか。
A 申告書第1表の所得金額の記載欄((1)、(2))に55万円を控除した金額を記載し、金額記入欄の前の広い欄に〓(※)と記入してください。
収支内訳書の所得金額の欄にも55万円控除した金額を書き、〓(※)と記入してください。
「家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例の適用を受ける場合の必要経費の額の計算書」を申告書とあわせて提出しても大丈夫です。
Q 営農組合に土地を出して賃料が55万円以下の場合、家内労働の経費と損益通算することは可能か。
A 本人が農業をしているかどうかで異なります。本人も営農している場合は農業所得の雑収入として、通算できますが、自分で農業をせず、土地だけ営農組合に預けている方は雑所得となり、他の経費との損益通算になります。
Q 今年、経営権を息子に委譲したが、昨年の追加払いが今年入ってくる。この分を息子に贈与できるのか。
A 110万円以内であれば贈与税が発生せずに贈与できます。
Q 世帯分離をした時のデメリットはあるのか?
A 国保税の平等割が増えることはあります。また、自治会費などが世帯ごとの場合、会費が増えることがありますが、そんなにデメリットはありません。ほかの部分でメリットがあるので、全体として負担が重くなることはあまりありません。
Q 世帯分離をしたときに、医療費の控除は分けないといけないのか。
A 生計を一にしていれば合算できるので、世帯分離をしてもまとめてできます。扶養も取れます。
Q 同一世帯の世帯主以外の家族が国保に加入していない場合、その家族は国保料の軽減判定の合算対象にはならないのでは?
A はい、なりません。世帯主のみが国保未加入でも合算されます。
Q 農業所得が黒字の場合、息子の扶養に入ると息子の所得が増えて迷惑になってしまうのか?
A そもそも所得が48万円以下の場合しか扶養には入れません。農業所得が48万円を超えるようなら、親が農業所得を申告して、それぞれで基礎控除をとる方が良いです。
Q 減価償却はなぜ消費税非課税なのか?
A 消費税は取引のタイミングで発生するもので、減価償却には含まれません。
Q 消費税の簡易課税と一般(本則)課税は毎年切り替えられるのか?
A できません。一度簡易課税を選択すると2年間は簡易課税のままになります。
Q 配偶者特別控除を今年から使いたい。子どもの扶養を妻に移して、配偶者特別控除を利用することは可能か?
A 可能です。
Q 経営委譲したが、その前に払った父親の消費税が還付された。誰がどうやって申告すればいいのか?
A 父の名前で申告が必要です。本来であれば事業所得の雑収入になりますが、事業をやめているので、事業所得ではなく、その他の雑所得で計上しましょう。
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(新聞「農民」2022.8.8付)
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