「農民」記事データベース20220801-1515-07

韓国の無償給食はなぜ実現できたのか?
(下)

姜 乃榮(カン・ネヨン)さんの講演
(要旨)


 韓国の学校給食の現況と親環境農産物

 2021年度の学校別給食の現況は表の通りです。

 韓国農林畜産食品部の18年の調査によれば、18年の1年間で学校給食が消費した親環境農産物は7万9339トンになります。学校全体の農産物供給量13万7558トンの57・7%です。

 18年〜22年の韓国政府「農業・農村及び食品産業発展5カ年計画」の重点推進課題は、持続可能な農業・食品産業基盤、安全な食料供給体系の構築などを学校給食だけでなく公共給食分野にまで拡大すると見込んでいます。親環境農産物認証面積の比率も16年(4・8%)、17年(4・9%)、18年(4・9%)、19年(5・2%)と広がっています。

 学校給食と地域農業とが連携して親環境優秀農産物の給食差額支援事業が実施されています。

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 ソウル市親環境無償給食の実施効果

 最後に、ソウル市の親環境無償給食の実施の効果(2011〜17年)をみます。

 経済的効果をみると、無償給食の予算投入による生産誘発効果は、3兆2964億ウォンにのぼり、付加価値誘発効果は、1兆3758億ウォンでした。

 就業誘発効果は、年平均1万9800人で、雇用誘発効果は年平均7千人でした。特に、他地域の経済に影響(3600億ウォンの生産誘発効果、1060億ウォンの付加価値誘発効果)がありました。

 親環境献立は、給食の品質向上、輸入農産物の比重減少に役立ち、輸入農産物70・5%、加工食品59・7%の減少になり、農家収入は13・3%増加しました。

 次に、社会的効果をみると、農村体験活動や食生活教育の拡大につながり、保護者や学生にとっても都市と農村の交流への関心が向上し、正しい食習慣の確立にも役立っています。

 親環境流通センターの運営は、給食納品業者の専門性や効率性の向上、食材の安全性・品質向上・安定的な供給体系の確立に寄与しました。

 炭素排出量も1万トン以上減少しました。

(おわり)

(新聞「農民」2022.8.1付)
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2022年8月

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