ネオニコ系農薬の尿調査で
202人中190検体から検出
農民連も調査に参加
ネオニコなど農薬の体内残留検査を行う
デトックス・プロジェクト・ジャパン
=設立3周年記念イベント=
農薬は子どもが一番影響受ける
ネオニコチノイド系農薬やグリホサートの体内残留検査などを行う「デトックス・プロジェクト・ジャパン」(DPJ)の設立3周年を記念したイベント「農薬フリーな明日へ―200人の尿検査からわかったこと―」が国会内でオンライン併用で開かれました。
開会あいさつにたったDPJ共同代表の天笠啓祐さんが「農薬は食べものから摂取する消費者をはじめ、直接浴びてしまう農家の健康にも被害を及ぼす。とくに子どもが一番影響を受けることになる」と指摘しました。
アクト・ビヨンド・トラストとアジア太平洋資料センターが共同制作したショートビデオ「浸透性農薬〈ネオニコチノイド〉はヒトにとって安全か?」が上映されました。
市販野菜、 水道蛇口からも検出
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講演する八田所長
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農民連食品分析センターの八田純人所長が「200人のネオニコチノイド系農薬の尿調査でわかってきたこと」について講演。北海道農民連や農民連女性部の生産者ら全国から集まった202検体を調査した結果、190検体からネオニコ系農薬が検出されたことを報告しました。
市販野菜や水道の蛇口、水道水からも検出されたことを述べ、「私たちを取り巻く食べものや環境から農薬を摂取していることをまず知ることが大事。そのうえで生産や消費のなかで自分が何をできるかを考え、行動してほしい」と呼びかけました。
ネオニコ、グリホサートの使用を
規制する取り組みを
低い摂取量でも安心はできない
環境脳神経科学情報センターの木村―黒田純子副代表が「農薬暴露の実態をどう捉えるか〜ネオニコチノイド、グリホサート、有機リン系などの農薬の危険性」について解説。分析センターの調査で、ネオニコ系農薬が高い確率で検出されていることを紹介し、「検査で比較的高い濃度であっても一日摂取許容量ADIの1%程度であるが、ADIの決め方には問題もあるので、ADI以下だからといって安心はできない」と強調。さらに農薬原体(グリホサートなどの成分)よりも農薬製剤(ラウンドアップなどの商品)の方が毒性は強いために、「使用量を極力減らすことが大事」だと述べました。
世界でもネオニコやグリホサートの規制が進むなかで、子どもたちの未来のために、学校給食の有機・無農薬を進め、校庭や公園などでの殺虫剤・除草剤の散布を止めることを提起しました。
企業支配への道を開く政府の農政
食政策センター・ビジョン21の安田節子代表が「今後の日本の農業を問う〜みどりの食料システム戦略と農薬」について報告。昨年9月に行われた「国連食料システムサミット」で、農薬企業連合が知的財産で食料・農業を囲い込む戦略をとろうとしていたことを述べ、農水省の「みどりの食料システム戦略」がめざすものは、「企業に種子を明け渡し、食と農に対するアグリビジネスの支配へ道を開こうとしている」と批判しました。
これからの取り組みについて、DPJの印鑰智哉共同代表が、「ネオニコ、グリホサートの使用を規制する取り組みを各自治体で強め、引き続き検査運動を進めよう」と訴えました。
(新聞「農民」2022.7.18付)
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