「農民」記事データベース20220627-1510-16

農業に未来を見いだし
交流と希望を広げる

若手農家たち

大阪・阪南支部協議会

 大阪農民連阪南支部協議会では、泉州地域の農業の振興、産直運動に取り組んでいます。今回は自家増殖を規制する種苗法改定反対運動の中でつながった自然農の農家と、農業に未来を見いだしてがんばっている若手農家を紹介します。


自然災害をのりこえて
水ナス中心に春菊など作る

新(しん) 悟さん(51)=泉佐野市

 台風被害ハウス 再建しがんばる

 2018年の台風21号被害に遭った農家も国の支援事業を活用して農業用ハウスを再建してがんばっています。その1人が泉佐野市日根野で約40アールの農業用ハウスを再建して、水ナス栽培を中心に春菊などを栽培している新悟さん(51)です。

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阪南・山下博会長(左)が新さんの春菊栽培ハウスを訪問しました


コンビニ店長をやめ14年目
自然農法を研修し自家生産

前田 博史さん(48)=岸和田市

 30アールから始めて畑・水田2ヘクタールに

 農薬も化学肥料も使わない自然農法、有機栽培に取り組んでいる農家が昨年から今年にかけて税金申告と販路拡大を期待して4人入会しています。

 そのなかで農家と関係のない方が脱サラして農業に挑戦している人が3人。その1人が岸和田市の「小太朗農園」の前田博史さん(48)です。15年前にコンビニ店長から農業の世界にとびこんでいます。前田さんは食品添加物の問題や期限切れ弁当などを大量廃棄する現実を前に「便利さを追求する一方で、自然環境や人間生活に負担をかけ続けていいのか」と矛盾を感じ、コンビニをやめて千葉や和歌山の有機農家で農業研修した後、2008年に新規就農しました。

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大根を収穫した前田さん

 不耕起草生栽培のため10年間は経済的に苦しい状態が続きましたが、その土地にあった一年草を育ててその草を枯らせて、マルチにして苗を定植し、緑肥にして土地を活性化する自然農法にたどり着き、生産の見通しも出てきています。30アールから始めましたが、離農者が増える中で2ヘクタールほどの畑と水田、みかん、タケノコ山を管理しています。妻と二人三脚で果実や小麦を加工したジャム、ケーキ、ゆず胡椒、七味唐辛子、みそこうじ、玄米餅などを自家生産して販売しています。


和歌山で自然農業を研修
未耕作地借り野菜と果物栽培

田村 良太さん(33)=泉南市

 40種類の野菜と果物を作り販売

 もう1人は、27歳で機械設計の会社を退職して就農7年を迎える「たむたむふぁーむ」の田村良太さん(33)です。家族のためにと「機械設計」の技術者を目指して勉強して希望通りに就職でき、一生懸命働いて3年目に体調を崩し、「収入のためにだけ働いている自分」に迷っているときに『自然農・わら一本の革命』という福岡正信氏の本に触れて、農業を目指しました。

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スナップエンドウを手にする田村さん

 農地もないので大阪府の農業委員会に相談に行ったら「素人に貸す農地はない」と相手にされませんでした。田村さんは「それなら実績をつくろう」とネットで研修生を募集している和歌山の自然農農家を探して、そこで8カ月間研修を受けて「大阪府みどり公社」から8年前に泉南市の未耕作地450坪を借りて農業を始めました。

 現在、泉佐野市も含めて80アールの農地を借りて40種類の野菜と果物を栽培し販売しています。


就農希望者へ本格的な支援を
消費者と共に国に要請へ

阪南支部協

 それぞれ苦労しながら就農し未来を切り開こうとしています。私たちは消費者との交流を通じて地産地消、産直運動を広げて彼らの農産物の販路を拡大して再生産を保障したいと支援しています。

 同時に、未耕作地の拡大と食料危機の中で国、行政が就農希望者への本格的な支援に乗り出すことを消費者の皆さんと共同して要請し、食料自給率を高めるための取り組みを強化したいと思います。

(大阪・阪南支部協議会 下村晴道)

(新聞「農民」2022.6.27付)
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2022年6月

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