旬の味
果樹は実を付け、収穫まで気が抜けない。以前農家の敷地には渋柿の木があった。私の家にも樹齢100年前後の木があったが、収穫する人がおらず、自ら伐採した。樹齢は「柿の木の後方の長崎方向に、今まで見たことのない雲をみた。原子爆弾だった。その時柿は着果していた」と父が言っていたので推測できる▼私と妻、両親が元気なとき、秋の一日で渋柿の収穫。木の途中まで登り、ハサミで。高い所は竹竿の先端を加工し収穫。夜は家族で皮をむき、翌日に持ち越した。柿は正月用に庭先で天日乾燥し、タ方に軒下に取り込んでいたが、後で軒先で乾燥させていた▼柿の皮は大根を漬けるのに利用していた。60年前は近所に漢方薬を製造・販売している人が、原材料に柿の皮を利用していた。干し柿は午前午後と家族のおやつだった▼近頃、敷地内の渋柿を干し柿にする余裕が農家にはない。敷地内の柿は鳥のエサになり、農家は、お金の利益を得ることを最優先に働かなければ生活ができない。それでいいのだろうか。 (よ)
(新聞「農民」2022.6.20付)
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[2022年6月]
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