危機のもとでの家族農業の
役割を再確認
家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン
FFPJ第5回総会
平和と公正な社会求める運動を
家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン(FFPJ)は6月5日、第5回総会を開催し、コロナ危機、ウクライナ危機など多重危機のもとでの家族農業の役割を再確認し、平和で公正な社会の実現に向け活動を強めていく決意を固めました。
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FFPJ第5回総会で発言する人たち |
村上真平代表があいさつし、国連「家族農業の10年」が4年目に入ってなお日本では旧来の農政が続いていると批判。家族農業への支援を前進させるため「原点に戻り未来、地球のことを考えて建設的な方向でやりたい」と訴えました。
講演した関根佳恵常務理事(愛知学院大学教授)は、気候危機、コロナ危機、ウクライナ危機のもとで食料危機が加速し、「いつでも安い食料を輸入できるという前提が崩壊した」と述べ、「工業的食料システムからの転換しかない」と強調。その上で、新たな持続可能な制度の柱として、(1)食料をはじめ、飼料や肥料、燃料などの輸入依存からの脱却、(2)国産米、牧草、飼料用作物、堆肥や緑肥、種苗、再生可能エネルギーなど地域資源を活用するアグロエコロジー、(3)経済的利益を最優先する食料の自由貿易体制の段階的廃止と、連帯と助け合いに基づく新しい食料の国際供給体制への移行を挙げました。
さらに、多様な収入源を持ち、地域の資源を活用しながら取り組まれ、しなやかな強さを持つ家族農業が「転換をリードする」と指摘。この動きを、危機のもとで食料自給や農林漁業の重要さに気づく人が増加していること、地元の有機農産物を使った学校給食など、公共調達を拡充する内外の動きが後押ししていくことに期待しました。
一方、関根常務理事は、昨年9月の国連食料システムサミットなど、工業型農業や自由貿易を加速させようとする動きがあることに警戒感を示すとともに、相次ぐ食料や経済の「安全保障」の提唱が、ナショナリズムの鼓舞につながる恐れがあることにも危惧を表明。揺り戻しに抗し、「平和と公正な社会を求める運動」を呼びかけました。
総会では、和歌山県と福島県浜通りの地域プラットフォームの代表が、有機農業を通じた地域づくり、有機学校給食を実現する活動を紹介。家族農業重視への政策転換を国に求める世論を強めるため、情報発信や対話をいっそう進めていくことを定めた活動方針や予算を承認しました。
(新聞「農民」2022.6.20付)
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