「農民」記事データベース20220613-1508-11

旬の味


 「私たち飢え死にしないよね」。受話器の向こうから友人の声。「ウクライナの麦はどうなるの?」「日本に入ってくる分なんかなくなるんじゃない?」。心配が先に立ち、あいさつも抜きに麦の話になった▼食料自給率の低さがずしんとのしかかってくるようだ。政府は命を守るのは軍事だとしか思っていないようで、食料のことなんか考えているようには見えず、国民が心配しなければいけない羽目になっている▼わが家は戦後の食糧難対策として行われた事業の開拓農民で、湿地帯を3反・5反と馬で伐根し、小豆を作って生計を立てながら作付け面積を増やした。やっとおいしい米が採れそうになったころ、減反政策が始まり、米では成り立たないと畑作に転換。それも維持できない政策が出され、ほんろうされているとつくづく思う▼海底から石油を掘り出し、化成肥料を作る農業から、自然と共存できる農業へ。安心安全の農作物をつくり、人の命を守ることが求められる農業は、これからが旬ではないだろうか。

(麻)

(新聞「農民」2022.6.13付)
ライン

2022年6月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2022, 農民運動全国連合会