30年の歩みふりかえり
農業守るため、産直を永続的に
福岡 新婦人と産直協議会開催
学習会
アニマル・ウェルフェアとゲノム編集
県連事務局長若宮農民組合 藤嶋嘉子さんを講師に
福岡県農民連と新日本婦人の会福岡県本部は5月19日、福岡市の中央市民センターで2022年度の産直協議会を開催しました。この協議会は、毎年様々な形で開催し、産直生産者と消費者とが忌憚(きたん)のない意見を交わし、双方にとってのより良い産直での結びつきを強めていこうとするものです。今年は第1部が意見交換会、第2部として県連事務局長である若宮農民組合の藤嶋嘉子さんによる「アニマル・ウェルフェアとゲノム編集」についての学習会を行いました。
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新婦人のみなさんと意見交流しました |
変わる田園風景 リアルに報告
新婦人県連本部の三輪幸子会長が、「新婦人と農民連の産直運動の『4つの共同目標』で、30年の産直の歩みがあります。様々な社会変革がありますが、日本の農業を守るため、これからもより良い形で永続的に続いていきますように」と述べました。
米生産者から、「田んぼでは今年は鹿の足跡を見つけることが多く、電気柵などの対策が必要になっている。以前のようなのどかな里山の田園風景が変わってきている」などのリアルな状況が語られました。
また、「生産者のできることとして、地域の大学生との交流や農業の体験を通して、若い世代に伝えていく努力をしています。また、田植え交流会、稲刈り交流会などの交流を通して、米や野菜の生産現場を見ていただきたい」等の話が出ました。
消費者からは、「野菜が新鮮でとてもいいと思います。産直ニュースなどに次の野菜を書いてもらっているところもありがたい。漬物やみそがとてもおいしかった。米粉、南天の葉、月桂樹の葉、季節の花、果物等が入っているときはとてもうれしかった」等の感想がありました。
この協議を持ち帰り、生産や産直ボックスに生かしていくことが大切であるとともに、今後の交流を続けていくことを確認しました。
生態系調和崩すゲノム編集食品
2部では、藤嶋さんによるゲノム編集についての学習を行いました。ゲノム編集は特定の遺伝子を壊す技術であること、その仕組み等を画像を用いて説明しました。
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大きな関心を集めたゲノム編集の学習 |
遺伝子組み換え食品は表示義務がありますが、ゲノム編集には表示義務がありません。日本でも、高ギャバトマト、成長を抑える遺伝子や食欲を抑制する遺伝子を壊した、肉厚マダイやトラフグが開発され、市場に出回るようになっていること、生命が持つ調和やバランスを崩すのがゲノム編集技術であるということ、ゲノム編集で作られた動物たちにとっては生命倫理を超えたものであり、アニマル・ウェルフェアにも反するという声があること等を学習していきました。
この日の協議会は、身近な問題からグローバルな食の現状を学ぶ機会であり、短時間であったものの実りの多いものでした。ウィズコロナの時代とともに変わっていく社会の中で、食の問題が最重要課題であると再確認をしました。
(福岡県農民連 坂本恵子)
(新聞「農民」2022.6.13付)
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