国産砂糖の増産は急務
輸入は温存、国産は減産の逆立ち
国産の砂糖は、北海道のてん菜(ビート)、沖縄県と鹿児島県南西諸島のサトウキビから作られています。てん菜は第一次世界大戦による砂糖価格の高騰で本格的に栽培が始まり、今日では北海道畑作の輪作体系を支える重要な寒冷地作物です。
糖価調整制度の交付金が、製糖工場の運営やサトウキビ、てん菜の生産者価格を支えています。糖価調整制度は輸入砂糖への調整金を財源にして国産砂糖と輸入砂糖が共存する仕組みで、国産砂糖の自給率を上げるものではありません。現に、砂糖の自給率は35%にすぎません。
近年の砂糖消費量減少で砂糖の輸入が減少し、それに伴い糖価調整金も減少し、糖価調整金会計の累積赤字が問題になっていました。国産砂糖原料の8割を占めるてん菜の生産量は、産糖量64万トンの枠がありますが、糖価調整金会計の累積赤字を理由に、国や製糖メーカーは、64万トン枠を減らそうとしており、仮に産糖量枠が2割程度減れば、てん菜の作付面積1万3千ヘクタールに相当します。
世界的に食料が不足し、さらにロシアのウクライナ侵攻で食料危機が広がり、「食料安全保障」「国産生産の維持」などの世論が広がり、いまこそ国産農業を励まし、生産を増やすべきなのに、「国産砂糖は余っているから他の作物に変えろ」「需要があるものをつくれ」と、国は税金を使いながら真逆なことを進めています。
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風の被害で傷んだビートの植え替え作業(小清水町) |
北海道畑作は、小麦やてん菜、じゃがいもなどを順番に作付けする輪作体系で高い生産力を維持しています。
「需要に見合った生産」という呪縛から、「食料自給率を引き上げるために生産を増やす」政策への転換が必要です。
道内21市町村議会はてん菜守れの意見書を採択し、北海道農民連は6月議会の採択を働きかけています。
(T)
(新聞「農民」2022.6.6付)
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