「農民」記事データベース20220606-1507-01

消費者と生産者で力合わせて

持続可能な(アグロエコロジー)農業
実践しよう

栃木 農民連と新婦人の産直ボックスで
有機野菜Boxスタート

関連/有機栽培にとりくむ仲間を増やしたい


女性たちが生産者の背中を押してくれた

 栃木産直センターと県の新日本婦人の会との産直野菜ボックス運動が、「アグロエコロジー」実践の場として4月から一歩前進しました。月の第1週のみですが、「有機野菜ボックス」に特化してお届けしています。

 ボックスの内容は、1サイズのみ、4〜6品で税込み1200円(4、5月は各5品)のお届けです。

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産直野菜ボックスの箱詰め作業

 アグロエコロジーに産直で挑戦

 県の新婦人との産直野菜ボックスは、1990年9月から始まりました。

 この30年余の間には、さまざまな出来事がありました。93年の米不足、2011年の東日本大震災と福島第一原発事故による影響など、大きな困難を乗り越え、「安全で安定した食料は日本の大地から」の立場から、安全・安心の農産物を届け、農業と農家経営を守る産直運動として取り組まれてきました。

 またこの間、世界的にはCO2排出量の増加による気候変動が、気象災害、環境・生態系破壊、飢餓と貧困など複合危機を作り出しました。さらにはアグリビジネスやデジタル巨大企業が、食と農の世界支配を狙っている実態があります。

 こうした危機の解決に向けて、農民連が持続可能で生態系や環境にやさしい農業として「アグロエコロジー」を掲げるなかで、私たち栃木農民連でも、アグロエコロジー実践の模索が始まりました。

 新婦人との産直運動では、有機農業に長年取り組んできた、県連会長で栃木産直センター理事の國母克行さんが生産する有機玄米の取り扱いが19年から始まりました。その後、新たに有機米生産者を農民連会員に迎えたことで、有機白米の産直も始まり、有機米産直の数は今も着実に増え続けています。

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有機野菜が詰まった産直ボックス

 共に学ぶなかで最大の理解者に

 一方、農民連のアグロエコロジーの交流会などに、農民連会員だけでなく新婦人の皆さんも一緒に参加し、学ぶなかで、新婦人の皆さんからも、アグロエコロジーで作った農産物を産直野菜ボックスに取り入れ、米や豚肉なども含めて、産直運動のステップアップを図りたいという声が強まっていました。

 じつは、新婦人の皆さんとは、國母さんのほ場見学や草取り援農など、これまで数えきれないほどの交流が行われており、新婦人の役員さんからは「若いお母さんたちから有機無農薬の野菜ボックスを」との要望があることは聞いていました。しかし、提供できる体制が整っていないことから実現できていませんでした。

 ところが、昨年末ごろに國母さんから、「複数の有機農業生産者と交流がある」との話があり、新婦人産直野菜ボックスへの出荷を相談。その後、産直センター理事会・総会で承認され、新婦人栃木県本部への申し入れも2月に行い、新婦人各支部・班などで話し合いがもたれました。3月18日の産直協議会では、出荷してくれる有機野菜の生産者も参加して交流し、内容が確認されました。

 安心して食べられて、 うれしい

 有機野菜ボックスを受け取った新婦人の会員さんからは、「里芋は柔らかいのに煮崩れせずホクホク」「ごぼうはきんぴらにしたら4歳の孫がおいしいとたくさん食べました。安心して食べられるというのは本当にうれしかったです」「来月が楽しみ。少し単価を下げていただけたら…」などの感想が寄せられています。

 当初の予定を上回る利用数となり、生産者からは継続を危ぶむ声も上がりましたが、「端境期の今が一番苦しい季節。この時期を何とか乗り切ればその先は軌道に乗るのでは」と他の出荷先の分もやり繰りしてくれ、クリアできました。

 新婦人の役員さんは、「困難はあるけど、協力していきたい。みんなでがんばろう!」と話しています。

(栃木農民連事務局長 野村和史)


栃木農民連会長 國母克行さんの話

有機栽培にとりくむ仲間を増やしたい

 新婦人のみなさんと開く食や農についての学習会で、食の安全についての話をします。とても関心が高く、話のなかで有機無農薬の農産物を勧めたりするのですが、話だけでなく、実際に食べてもらうことが大事だと思い、今回の取り組みに発展しました。

 「学校給食に有機食材を」という運動に一緒に携わっている私の知り合いの若手農業者にも協力してもらい、必要な量を確保しようと努力しています。

 さらに、農産物には、遺伝子組み換えやゲノム編集作物でないことを証明する「OKシードマーク」を貼り、安全性をアピールしています。

 今後、顔の見える信頼関係を維持しながら、新婦人のみなさんとの話し合いを進め、よりよいものにしていきたいと思います。また、期待に応えられるよう、有機栽培に取り組む生産者の仲間を増やしていきたいと考えています。

(新聞「農民」2022.6.6付)
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2022年6月

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