参議院農水委員会参考人質疑
地域・農村の活性化は自らの手で
静岡県連の森島会長が意見陳述
参議院農林水産委員会が5月17日に開かれ、「農業経営基盤強化促進法改正案」「農山漁村活性化法改正案」についての参考人質疑が行われました。静岡県農民連会長の森島倫生さん(静岡県浜松市、浜松市農業委員会委員)が出席し、意見陳述をしました。森島さんの冒頭の意見陳述の要旨を紹介します。
浜松から参りました森島です。豚を飼っております。息子が主にやっておりまして、私は加工の方を主にやっています。6次産業に割と早くから取り組んできています。
|
参考人として参加する森島さん |
事前に関係者に実情を聞いて
農業経営基盤強化促進法の一部改正案が議論されています。今日私がここに来るに当たって、私どもとは政治的な立場も違う、考え方も違う方々、農協の職員、あるいは保守の議員の後援会の方々のお話をうかがってきました。
「行って、まともにそういうことを言ったとして、ことが変わると思うか」とも言われました。「いや、変わるとは思わないけれども、一農家として、一農業委員としてお伝えすべきことはやっぱり言わなければならない」という思いで来ております。
残念ながら、みなさん方のご尽力にもかかわらず、日本の全国のどこでも、生産力の低下はもう見る影もないと私は思います。それは浜松も同じでして、担い手がいないに等しいという地域もあります。
農業委員会の尽力で地域守る
そこで、「ビジョンを作れ、集落で議論をやって、やるべき人を探してこい」というわけです。私どもも、この2、3年ぐらい現場で「人・農地プラン」についての議論をやっています。
去年の7月の暑いさなか、「集落営農の議論を始める、やるから来てくれ」といって来てもらいました。そうしたら、お茶一本出す予算もない。それで泡食って農業委員の担当者がペットボトル買いに行きました。しかし、県の職員も市の職員もそのペットボトルは飲まない、口を付けない。
そういうことが一方で行われている中での議案審議があって、仲間に「集まりをやるから来いや」と言ったときに、「何をやれというのか? 何を植えろというのか? 何をまけというのか?」という話から始まる。
やはりこの国の実情は、「農業を守る、あるいは農業生産性、生産者を守っていく、次の世代も背負っていくという責任をきちんと果たさせる」というメッセージが全く出ていない、届いていない。われわれ農業委員が義理と人情で、頼むわと言って来てもらって、これから集落営農についての「人・農地プラン」のビジョンを作っていくということだと私は思っています。
地域デザインを示さない国批判
その意味で、地域グランドデザインを国が本当に持っているのかと思うのです。「国が持っているのだったら、それを出し、出したらそのデザインに合わせて私たちも村のこと、地域のこと重ね合わせて考える」と言っていますが、出てこないではないですか。
ここのところで、農業委員ががんばって苦労してこれからやっていく、農業委員の個々の人格、人柄、義理人情で農村を立ち上がらせていく、そんなことでいいのでしょうか? これは国がどうあれ、私たちがやらねばと思っています。
結論的に言うと、この一部改正する法案は反対で意味がない、ということです。
(新聞「農民」2022.5.30付)
|