「農民」記事データベース20220523-1505-10

発見
農の現場から

鳥取県農民連 雑賀(さいが)敏之


地域農業を自らの手で
支える機運が高まる

南部町 規模拡大 順調に進んで

 私の住んでいるところは鳥取県西部に位置し、伯耆(ほうき)富士と呼ばれる名峰・大山のふもとの南部町(合併前は西伯=さいはく=町・会見=あいみ=町)の旧会見です。旧会見は鳥取県の商都・米子市まで車で10分の距離にあり、米子市の経済圏内にあります。

 私は農協を平成14(2002)年に55歳で退職し、現在75歳になります、当初は約3ヘクタール(自己保有25アール)の耕作面積でしたが、年々増加して今年度は約28ヘクタールになりました。私が農業をするきっかけは農協で30年の奉職中、営農関係(水稲)に20年間携わり、農業の大切さ、米作りの魅力を学んだことです。

 二つ返事で加盟 会員拡大に奮闘

 令和1(2019)年に長男が突然(本人は以前から考えていたようです)、「自分は退職して農業をやる」と言い、20年4月から親子でやるようになり、2人で農業経営をするに当たり収入(所得)の確保をしなければなりません、そのためには規模拡大、大型農機の整備が必要でした。

 規模拡大は順調に進み、大型農機の整備も農協からの融資を受けることができ、補助事業は南部町スマート農業社会実装促進事業費383万5000円、親元就農促進支援交付金を2年間で240万円受けることができました。

 さて、私の農民連との関わりは先輩に「お前、田んぼをよけしちょうだけん、農民連に入ってごせやい(水田を多く耕作しているので農民連に入ってくれ)」と言われ、農が付くからと二つ返事で加入しました。

 会見支部では20年の持続化給付金の取り組みで申請者数64人、新聞「農民」読者拡大28部、会員拡大28人の成果をあげました。

 持続可能な農業 米作りめざして

 旧会見の農業は米・柿・梨が主なものですが、そのほとんどが兼業農家で経営規模も小規模農家が多く、果樹を中心とした専業農家が数戸です。

 近年は、農業法人、集落営農組織が設立され、地域の農業を自分たちで支えるといった機運が出てきており、耕作できなくなった農地の集積、集約化が徐々に進んでいます。

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耕作放棄地の再生作業のようす

 その一方、農家世帯数、農業就業人口の減少、高齢化が進行しており、特に中山間地域における農業の担い手を今後どのように確保していくかが重要な課題になっています。

 さらに米価下落、水田活用交付金の改悪など国の農業政策の誤りから農業を取り巻く情勢はますます厳しい状況になっています。

 この度の鳥取県農民連の会長就任も後先のことを考えずに即承諾しましたが、農民連の活動を学びながら安心・安全な持続可能な米作りをめざし、少しでも農家の皆さんに貢献できればと思います。

(新聞「農民」2022.5.23付)
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2022年5月

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