汚染水は海洋放出前に
発生止める対策を行え
福島県農民連 政府・東電交渉
放出ありきの姿勢を批判
福島県農民連は4月26日、東京電力(東電)と政府に対する要請行動を行いました。
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首相官邸に向けて抗議しました |
国と東電は、福島第一原発で発生した放射性物質のトリチウムを含む水(汚染水)を環境基準以下に希釈して、海洋に放出しようとしています。福島県連は放出を中止し、汚染水発生の根本原因である、地下水の原発敷地内への流入を止める抜本対策の実施と放射能減衰までの地上保管の継続などを求めました。
東電は「敷地造成や燃料デブリ取りだしの廃棄物の置き場が必要で、これ以上汚染水の保管スペースはない」と従来通りの回答を繰り返し、地下水対策については「中長期対策で検討」と早期の実施は否定。経産省も東電の姿勢を追認しました。
参加者は、「地下水の流入対策を講じれば海洋放出はしなくて済む。福島大学の柴崎直明教授らが、在来工法でも可能で安価な方法を提案している。19年から原子力規制委員会でも指摘されていたのに、なぜ早期に実施しないのか」と追及。海洋放出を避けようとしない態度に会場から大きな怒りの声が起きました。
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東電に要請書を渡す本多芳司副会長(右) |
また、すでに東電が海洋放出の工事を始めたと報道されていることについて、「『地元の合意なくいなかる処分も行わない』という約束を破るのか」と追及され、「あくまで工事の準備で、合意があるまで工事は行わない」と回答しました。
農水省
「農地除染支援、環境省に働きかける」
交渉では農水省に対しても、農地一筆ごとの汚染状況を測定することや、汚染農地で働かざるをえない農家に対し、条件不利地域として補償を行うことなどを求めました。
農水省は「補償は東電のやること」「農地は環境省の除染事業で対応を」とそっけない対応で、参加者からは「福島の農民というだけで被ばくのリスクを負って農業をしている。その分の補償は必要ではないか」「環境省の除染事業は年間被ばく線量が1ミリシーベルト以上が条件だが、それ以下でも、放射線管理区域以上の被ばくにさらされる実態がある。希望者には支援を」と再度要請。
農水省は「除染については環境省に再度に働きかけを行う」と回答し、会場からは拍手がわきました。
また、原発再稼働を推進する東電と国に対し、東京電力の社員からも再稼働に疑問の声があることを指摘し、「原発は、子や孫の代以降にも負担を背負わせる。再稼働などありえない」と訴え、再生可能エネルギー推進の強化を要求しました。
(新聞「農民」2022.5.16付)
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