「農民」記事データベース20220418-1501-06

農家のための
税金コーナー
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作業着や住宅の光熱費など


「按(あん)分」で経費に入る
家事関連費を確認しよう

 作業着は「按分で」とは

 今年の相談会で出されたなかで「按分」についての考え方の質問が多く出されました。

 「作業衣」の費用が1万円にもならない方が多くびっくりしました。質問すると「高い雨具や、長靴など買っていないから」との答えでした。 中には税理士から「作業着と言っても、普段着ているものは対象にならない」と言われ算入していない方もいました。

 改めて「農家は、暑いときも、寒いときもそれぞれに応じた仕事着が必要である。また女性は、家事作業もあり農作業にエプロンは欠かせないのではないか」「裸では仕事できない」と話すと「それでは、按分しましょう」と言われたようです。

 直接農作業に欠かせない「帽子、マスク、シャツや上着、ズボン、雨具、靴」は状況により数足必要となります。これら全てが全額経費算入することができるでしょう。また、農業研修やJAの役員会などに「スーツと革靴」なども必要となります。これらは、使用状況により「按分」することとなります。

 記帳や調べごとは住宅で行うのでは

 今まで青色申告会で行っていた人が「住宅でいろいろ作業するが、経費にならないと言われたがどうなるのか」と相談されました。「どうして経費にならないのか」と聞くと「家計費は経費に算入できない」と言われたようです。

 農家の場合、会社などと違い事務室を別に作ってあるわけではありません。また、住宅で出荷調整作業をすることも珍しくはありません。寒い期間の切り花栽培では住宅で出荷調整することが当たり前のように行われています。

 住宅を事務室、作業場と考えれば、電気代、上下水道料金、テレビ料金はじめ固定資産税などは、それぞれの使用状況により「按分」して経費計上します。

 また、住宅の減価償却費も使用割合により計上することができます。所得税法施行令(家事関連費)96条では「家事上の経費に関連する経費の主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合における当該部分に相当する経費」と定めています。

 「知らない人がいっぱいいる。もっとみんなに知らせることが大切」と相談会を終えた参加者は語っていました。

(長野県農民連 菊池敏郎)

(新聞「農民」2022.4.18付)
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2022年4月

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