事業復活支援金を活用しよう
締め切りまで約1カ月
関連/事前相談・申請支援窓口 山形・庄内農民連が開設
コロナ禍で苦しむ農家救うため
地域の農民連が申請の支援を
事業復活支援金は、新型コロナウイルス感染症により、大きな影響を受ける中堅・中小・小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者に対して、事業規模に応じた給付金を支給するものです。業種や所在地を問わず給付対象となることができます。(申請期限は5月31日)
「新型コロナウイルスの影響を受けた事業者」であることが給付の条件となりますので、減収の原因が自然災害・異常気象等による収量減少など新型コロナ禍と直接関係がない場合は給付対象とならないので注意が必要です。
一般的には2021年11月から22年3月までの各月の収入金額が18年から21年までの同月比で30%以上減少していれば給付対象となる、と説明されています。
しかし、農業者は確定申告書類から月額収入金額を確認することができないため、18年から21年までの各年の「月平均収入金額」と比較することになります。
対象月は制度上では21年11月から22年3月までの5カ月のうちの1カ月となりますが、農業者の場合、21年11月と12月は「月平均収入金額」が収入金額とされてしまうため、実際には「22年1月から3月までのいずれか1カ月の収入金額が19年から21年までのいずれか1年の月平均収入金額より30%以上減少している」ことが給付条件となります。
申請手続きの3つのステップ
申請手続きには3つのステップがあります。
(1)仮登録(申請IDの取得)
メールアドレスが必要となります。自力で行うにはパソコンやスマートフォン等の機器が必要となります(フィーチャーフォン、いわゆるガラケーでは不可)。同一のメールアドレスで複数のIDを取得することも可能なので、農民連の事務所のアドレスなどを使ってメールを使うことができない人のIDを取得することができます。
(2)登録確認機関による事前審査
農協・商工会・金融機関・税理士・行政書士等で国に登録をしているところで事前確認を受けます。事前確認は申請者が「新型コロナウイルスの影響を受けた事業者」であることを確認し、サラリーマン等事業者でない者が不正受給することを防止するために行われます。
農民連は登録確認機関になることができないので、申請希望者は農協に相談することになります。農協や金融機関など「継続支援関係」にある機関から事前確認を受けると、添付書類の一部を省略することができます。
一部の農協は「農協に出荷しない人の事前確認はできない」という見解のため、農民連の産直組織にのみ出荷している農家が事前確認を断られることがあります。そのために、提携できる税理士や行政書士を確保することが重要となります。
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事前確認は5月26日までに終わらせる必要があります。一時支援金や月次支援金を受給している場合は、事前確認は不要です。
その時の申請IDを使って次のステップの「オンライン申請」から始められます。
(3)オンライン申請
事前確認を受けると、申請に必要な情報を入力できるようになります。持続化給付金と同様に写真データ化した書類を入力して申請します。
確定申告書の控えに収受印があるものが必要で、ない場合には税務署から「納税証明書(その2)」の交付を受ける必要がありますが、2018年分の納税証明書は3月末で交付終了となりました。
18年分申告書に収受印がない場合は市町村役場から「課税・所得証明」など、18年の所得が証明できる証明書の交付を受けるか、税務署から提出した申告書のコピーを発行してもらうことになります。
申請のハードル高くても
対象になる農家は必ずいる
審査は持続化給付金の時よりもさらに厳しくなっている印象です。収受印は日付が読めればよし、ではなく「○○税務署」の部分も読み取れないと不備とされます。
持続化給付金より申請のハードルは高くなっていますが、給付対象になる農家は確実にいます。
コロナ禍で苦しむ農家を救うためにも、締め切りまでの約1カ月間、全力を挙げて取り組みましょう。
“助かる”件数増・会員も増
山形県の庄内農民連では、3月26日から毎週土曜日に「事前相談・申請支援窓口」を開設し、農家からの相談を受け付け、申請手続きを行っています。
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申請支援をする山形・庄内農民連の梶昇司事務局長(こちら向き) |
「自分が受給できるか知りたい」「ID取得のやり方がわからない」という人が多く、事前相談は喜ばれています。事前相談ではExcel(エクセル)で作成した基準期間と対象月の収入金額を入力すると申請可能額を表示する試算表を活用し、試算結果をプリントアウトして渡しています。
申請可能な人にはすぐにID取得を行います。マイページのID記載部分を印刷して渡し、申請希望者はそれを持って農協に行きます。農協の職員から「農民連は丁寧に資料を用意するので助かる」と言われています。
農協で事前確認が取れた人は再び農民連の窓口に来て申請を行います。持続化給付金の時の教訓を生かして役員とサポーター最大4人体制でやっているので、申請はすぐに終わります。
ほぼ毎週発行しているニュースでは3週連続で事業復活支援金の情報を伝えています。4月4日号のニュースが届けられると、一気に相談件数が増えました。
4月7日時点で会員2人を拡大しました。1人は持続化給付金申請で入会後正会員にならずに退会した元会員の息子で、今年1月に事業承継しました。もう1人は持続化給付金申請運動で入会に至らなかった人で、今回の支援金の相談で入会しました。
まだ大量宣伝を実施していない段階なので、相談は会員・新聞「農民」読者・元会員のみとなっていますが、「申請できそうだったら再入会する」と言っている元会員が多くいるので、まだまだ会員拡大の余地はありそうです。
大量宣伝にも使用できるチラシも作成しました。近日中に発行し、持続化給付金のときのような仲間づくりをもう一度実現したいと思います。
(山形・庄内農民連事務局長 梶昇司)
(新聞「農民」2022.4.18付)
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