水田活用交付金カット
秋田県農林水産部長
強行すれば“逆噴射”
佐竹・秋田県知事「つぶそうという気持ちで」
農民連本部
県農林水産部、JA秋田中央会と懇談
政府が今年から水田化活用直接交付金の削減を強行しようとしていることに、農家や農業関係者、自治体などから強い怒りが噴出しています。
秋田県では、3月16日の県議会で佐竹敬久知事が「県のスタンスとしては、これをつぶそうというくらいの気持ちで農業団体とともに要望活動を一生懸命やっていく」と発言。知事発言に衝撃が走り、「交付金削減はやめろ」の県民世論が燃え広がっています。
農民連の長谷川敏郎会長、笹渡義夫副会長が3月25日に秋田県入りして、県農林水産部の佐藤幸盛部長、JA秋田中央会の杉渕忠彦、斎藤恭史両農政部長と懇談しました。
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県農林水産部と懇談する長谷川会長(右から2人目)と笹渡副会長(同3人目) |
交付金カットは食料増産に逆行
長谷川会長は、水田活用交付金問題を特集した新聞「農民」を紹介。ウクライナ危機にも触れ、「今必要なのは食料の増産であり、交付金削減は逆行している。反対世論が大きく高まっている最中での佐竹知事の発言は大きな励ましだ」と強調しました。
佐藤農林水産部長は、「交付金削減は12月に突然、出てきた。国は何をしたいのか、その理念も分からない。注目発言になったが、問題の大きさを伝えたかった」と知事発言について説明。県内のソバの転作面積が3千ヘクタールあることを例に、「田畑輪換というが、生産が犠牲になる。現場を知っていればこういう方針にはならないのではないか」と指摘しました。
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JA県中央会とも懇談しました |
交付金あるから転作続けられる
懇談に同席した小林秀彦県農民連事務局長は、「能代市鶴形で地域のみなさんとソバの転作と加工をやっている。5年に1度の水稲作付けは絶対に無理。交付金が1400万円あるから続けているが、カットされたらソバは作れなくなる」と応じました。
佐藤部長は、「長年、転作に苦労して定着させてきた。交付金削減は、転作に協力してきた農家の感情にも触れる問題。農政は農家、県、市町村、国の信頼があってこそだ。現場を無視して国が強行すれば“逆噴射”しかねない。東北、北海道、新潟を含む知事会の枠組みも生かして、引き続き国に強く要請していきたい」と述べました。
JA県中央会の両部長は、交付金削減の影響を強く懸念。「知事発言もあって県内13JAが市町村に交付金削減問題に対する要請を行った。26日に来県する自民党・茂木敏充幹事長にも要請する」と説明。肥料や飼料の高騰や、入手難によって、生産への影響が心配されているなか、「交付金削減は県内の農業経営に追い打ちになりかねない。県とも連携して力を尽くしたい」と述べました。
(新聞「農民」2022.4.11付)
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