「農民」記事データベース20220321-1497-01

水田活用交付金改悪問題で

鈴木財務大臣が国会で答弁
見直しもありうることを示唆

日本共産党 紙智子参院議員の質問に

関連/春近し


現場の怒りの声が国会にも

 鈴木俊一財務大臣は3月4日の参議院予算委員会で、今後5年間、米を作付けしない農地を水田活用交付金の対象外とする政府方針を巡り、「何といっても、現場で生じている課題をよく検証することが大切」と述べ、今後、見直しもありうることを示唆しました。日本共産党の紙智子議員への答弁。

 紙議員は、大臣の地元の岩手でも、県議会で「突然の決定に驚いている。影響額もまだ試算できない」と答えていることや、県内の農業法人が「今回の見直しで、22年度だけで328万円減り、5年後は600万円減る。経営計画が立てられない」と批判が強まっていると指摘。「この見直しは、いったん立ち止まって撤回して再考すべきだ」とただしました。

 鈴木大臣は「転作が定着した農地については、必要に応じて支援の見直しを図る必要がある」と述べつつも、「財務省としても農水省と連携しながら、現場における課題についてよく検証してまいりたい」と答弁しました。

 紙議員は「農地を維持し、多面的機能が発揮されて、食料自給率の向上が達成できるように、国の農業予算も含めて全面的に見直すべきだ」と要求しました。

 引き続き、現場での困難や怒りの声を集め、「交付金の見直しはやめよ」と声と運動を強めましょう。


北海道

農協や保守系議員からも
水田活用交付金改悪に
異議と怒りの声続々

 水田活用交付金見直し問題で不安が広がるなか、北海道では、玉ねぎやビートの種まきと苗作り、雪解け促進の融雪剤散布、稲の苗を育てるハウスの除雪などの作業が始まりました。

 当初、水田交付金見直しは「北海道の一部」「水田農家だけの話」などの声もありましたが、北海道農民連は、水田交付金見直し問題をとりあげた新聞「農民」3月7日付を2100部取り寄せ、農家や議員、農協などに郵送、配布し、「水田交付金の見直しはやめよ」と宣伝に活用してきました。

 100ヘクタール、60ヘクタールの大規模農家からも「交付金があるから農家は減っても農地は減っていない」「一度なくなると農業を再生することは簡単ではない」「農業がない国になってもいいのか」「党派をこえて交付金を守ってほしい」など切実な声が出され、交付金を守るための運動が多様に取り組まれてきました。

 予算を審議する3月の市町村議会で、農協や保守系議員などから「交付金は恒久的に運用すること」「見直しは現場の実態を考慮すべき」など交付金見直しに異議を唱える意見書が出されています。農協や保守系議員から国の政策に異論を述べる意見書が出されることは珍しく、まさに党派を超えた課題になっています。

北海道 産地交付金を財源に
水田牧草に緊急助成

 このような運動の力で、北海道段階で産地交付金を財源に水田牧草に緊急助成を行うことが決まり、市町村段階に波及することが期待されています。産地交付金の総額が決まっているため、一方を増やしたら、他を減らさなければならないことから、国からの配分額を増やすことが必要です。
(北海道農民連 富沢修一)


春近し

融雪剤散布(江別市)

画像
撮影者 倉嶋麻里さん
(北海道・石狩中央農民組合)

(新聞「農民」2022.3.21付)
ライン

2022年3月

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