福島県農民連
汚染水問題で政府・東電要請
海洋放出を強行するな
国・東電 汚染水量削減の対策なし
学校にチラシ配布し、
新たな「安全神話」ねらう
福島県農民連は2月28日、政府・東京電力に対する交渉をオンラインで行いました。
国と東京電力は、福島第一原発から発生したALPS(アルプス)処理水(放射性物質であるトリチウムを含む)を、地元漁業者などの同意を得ないまま海洋放出を決定し、来年から強行しようとしています。
それだけではなく経産省は「トリチウムは身の回りにたくさんある」「健康に問題はない」等と列挙し、住民の不安には全く触れていないチラシを、市町村や教育委員会を通さずに小中学校などに配布。再び「安全神話」を押しつける姿勢に終始しています。
福島県農民連は今回の交渉で、(1)東電と経産省は汚染水発生防止の恒久対策を明らかにすること、(2)地学団体研究会の提案する「広域遮水壁」を早期に実施すること、(3)経産省作成チラシ配布の経緯を経産省と復興庁は明らかにすること、(4)チラシを即刻回収し、配布した自治体、保護者に謝罪すること――などを求めました。
|
要請書を手渡す根本敬会長(右) |
ふくしま軽視の姿勢まざまざと
国・東電は、汚染水の海洋放出は、「地下水の原発敷地内への流入が減少はしているものの止まらず、地上保管場所の確保が困難になるために行う」と主張。
しかし、地下水流入の恒久対策の検討状況を問われても「2025年に1日当たり100立方メートルまで汚染水発生量を削減するために対策を検討している」とのみ回答。23年から海洋放出をしようとしているのに、具体的な対策の検討内容などは示しませんでした。
参加者からは、「海洋放出ありきで、他の対策をする気が見えない」と大きな怒りの声が上がり、「具体的な対策を示している研究者から説明を受け、検討せよ」と重ねて要求しました。
国の見解のみを子どもに配布
経産省作成のチラシを配布した理由ついて、経産省と復興庁は「汚染水について正しい理解を広めるために分かりやすい資料を配布した」と説明。「副読本の補足説明である」として各教育委員会の承認を得ずにチラシを配布したことも認めました。
会場からは「一方的な意見だけを載せて、子どもたちを狙い撃ちにするようなやり方は許せない」「自治体の半数以上が慎重意見を持っている」「流さなくても済む方法があるという学者もいる」という指摘が相次ぎました。新たな「安全神話」を子どもたちに刷り込もうとする姿勢に、強い怒りの声が上がりました。
しかし国は回収などの対応はかたくなに拒否。責任を取る姿勢を全く見せませんでした。
佐々木健洋事務局長は「地下水対策への姿勢と合わせ、あまりにひどい犯罪的な姿勢だ」と国・東電の姿勢を糾弾しました。
(新聞「農民」2022.3.14付)
|