第4回
なんてったって!伝統食
継いでいきたい日本の食の会
栗原澄子
関連/イラスト2点
「江戸東京野菜」が今注目されてきています。江戸東京野菜は、江戸から昭和中期(40年代)くらいまで、江戸・東京の人々の食生活を支えた、いわゆる固定種の野菜や、在来の栽培法で栽培されてきた伝統野菜のことです。
その一つ、アブラナ科の葉菜の「のらぼう菜」はビタミンCを小松菜の2倍近く含みます。寒さに強く、寒さで葉に含まれる糖分が増え、あく抜きも必要なく、扱いやすい野菜です。くせのない葉っぱで食べやすく、子どもたちも喜んで食べてくれます。
18世紀後半から19世紀前半の天明・天保の大凶作の時には、のらぼう菜が人命を救ったといいます。
東京の西多摩地域では、のらぼう菜が店頭に出るようになると春の訪れのしるしとも言われているそうです。
それから、少し早いですが春のお料理をもう1品、紹介します。
食卓に春を呼ぶ「桜おこわ」は、卒業式や入学式のお祝いにもよく合います。八重桜が咲くのを見て、花を保存食にと塩漬けにし、それをどのように使うかを考え、思い浮かんだのがこの桜おこわです。
のらぼう菜のキッシュ
材料
(18センチパイ皿分)
のらぼう菜(菜花やかき菜でもよい) 150グラム
ベーコン 70グラム
ピザ用チーズ 70グラム
バター 大さじ1弱
卵 2個
生クリーム 150ミリリットル
塩 少々
コショウ 少々
作り方
(1)のらぼう菜は4センチに切る。
(2)ベーコンは2センチに切る。
(3)フライパンにバターを入れ、ベーコンを炒め、のらぼう菜もさっと炒めて、塩コショウをする。
(4)卵、生クリーム、塩、こしょうを混ぜる
(5)パイ皿に(3)を敷き、チーズを散らし、(4)を流す。
(6)200度のオーブンで10〜15分焼く。
八重桜の塩漬け
材料
桜の花 100グラム
塩 25〜30グラム(桜の花の重さの25〜30%)
白梅酢または赤梅酢 カップ1/3
塩 適量
作り方
(1)桜の花は軸ごと摘み取り、軸の元についているつめ状のものを取り除く。
(2)大きめのボウルに入れ、水を静かに注いで、両手で花びらをいたわるように洗う。ザルにあげて水気を切る。
(3)ガラスかほうろうのボウルで、分量の塩を桜の花にまぶし、桜の重さの2倍程度の重石をする。
(4)2〜3日で水が上がってきたら、重石をはずす。両手で軽く絞って水気を切り、漬け水は捨てる。
(5)(4)に白梅酢を入れ、浮かばない程度の重石で押さえる。
(6)1週間ほど漬けたら、水けを絞ってザルに広げ、半日くらい陰干しする。
(7)全体にたっぷりと塩をまぶしながら、桜の花をバラバラにほぐして瓶に入れ、きっちりとふたをする。
桜おこわ
材料(8〜10人分)
もち米 5カップ
赤梅酢 適量
桜の花の塩漬け 40〜50個
作り方
(1)前日に米をといで、30分吸水させ、ザルにあげて水を切る。薄めた赤梅酢に米を一晩つけておく。この時、塩味を確かめる。薄い吸い物ぐらいがよい。
(2)桜の塩漬けを10分ぐらい水につけて塩をよく洗い流し、ざるにあげておく。
(3)梅酢につけておいたもち米をざるにあげ(つけ汁は必ずとっておく)、せいろ(蒸し器)にふきんを敷き、もち米を入れる。
(4)鍋に水を入れ火にかけ、沸騰したらせいろを置き、蒸しあがるまで加熱する(約30〜40分)。途中、何回かつけ汁をふりかける。
(5)もち米が蒸しあがったら、桜の花を上にのせてさらに2〜3分蒸す。
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長野県小諸市 布施和子 |
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三重県大台町 成田千恵子 |
(新聞「農民」2022.3.7付)
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