「農民」記事データベース20220307-1495-01

山口市

生産者・消費者・流通業者で
市独自の有機認証制度

山口市有機農業推進協議会産直部会長
県農民連会長 原田正暁(しょうあき)


循環型の家族農業を支援

 第三者機関の認証に頼らず、生産者、消費者、流通業者自らが有機認証を保証する「参加型有機認証(PGS)」が、中小農家にメリットのある仕組みとして、世界に広がっています。

 山口市では2017年に有機農業推進協議会(事務局・山口市)が発足し、同時に生産販売を主とした別組織、産直部会を設立しました。現在の会員は約生産者100人、消費者50人(流通業者含む)で、市独自の有機認証を確立。消費者から「安心して食べられる」と喜ばれています。

 これまで有機認証について研究を重ね、現在、(1)国が定める有機JAS、(2)県が認証するエコ100、(3)国による環境保全型農業直接支払いの3つの認証に加え、(4)地域の市場で消費者から有機野菜と認められているものも束ねて、これらを市独自の有機認証としたものです。

 国は「市・町で生産者と消費者・流通業者の参画のもと有機野菜の定義を定めることは何ら問題はない。ただし店頭で販売する有機野菜の表示は有機JAS以外認められない」との立場です。

 また現実問題として種・苗とも農薬処理したものも多いことから、「植え付けから収穫まで農薬・化学肥料不使用」を証明するシールを貼ることで消費者から信頼を得ています。部会の認証委員会に認証を求める生産者には、ほ場の現地調査での農薬・化学肥料不使用の確認や、毎年の計画・実績の報告も求めています。

アグロエコロジーの実践へ絶好の契機に

 部会では農家への支援策として、環境保全型農業直接支払いの申請手続きの手助けや、販売ではJA市場をはじめスーパーの軒下で月1回2カ所、トラック市も開き、固定客も増えています。

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年末に開かれた感謝祭でのトラック市のようす

 また昨年から食育部会を立ち上げ、「ゆうき給食の日」の署名活動にも取り組んできました。有機菜園教室(初級)も4月から開校予定です。

 循環型農業では地元のビールカスと米ぬかを主としたボカシ堆肥を使用。種子は消費者からゲノム編集などへの心配から固定種を使ってほしいと促され、生産者へは霜の心配がなく直まきもできる固定種に切り替えるよう指導しています。

 アグロエコロジー(生態系の力を活用した持続可能な農業と循環型の食料制度)を実践し、本来の中小・家族農業を取り戻す絶好の機会と捉えています。

(新聞「農民」2022.3.7付)
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2022年3月

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