「農民」記事データベース20220228-1494-11

旬の味


 昨年、アラフィフになった。息子と近い年の子らに目がいくことが多いこの頃。先日畑で堆肥を切り返しているところへ自転車に乗った数人の小中学生が通りかかった▼堆肥のにおいが鼻についたのだろう、一人が「臭っさ」と鼻をつまんで通り過ぎた。慣れていないと臭いよね。でも人(私)がいるんだから気を使ってよね、と心の中で独り言(ご)ちる▼小学生の息子は、私の農業に対する姿勢「小さなことでもコツコツと。継続は力なり」を話したとき「夢がない・地味」だと感じたと言っていた。まだ積み重ねることの大切さを感じるのは難しいのか▼積み重ねた結果、手放す人もいる。私の畑の師匠は80歳になった。情熱をもって無化学肥料で野菜や稲を育てる農業をしていたが、昨年、畑を半分手放した。体に無理が効かなくなってきたというのが理由だ▼若い子をみては己の過去を振り返り、先を行く先輩の後姿をみては憂いに浸る。それでも、立ち止まらずに、今を耕して生きることに誇りを持っている。

(恵)

(新聞「農民」2022.2.28付)
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2022年2月

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