「農民」記事データベース20220221-1493-01

転作でソバをつくるが
5年に一度の水張りで転作の努力が無に

水田活用直接支払交付金の
見直しに抗議する

長野県農民連 荒井賢蔵(信濃町)

関連/水田活用直接交付金見直しの主な内容


一方的な国の方針転換に強い憤り

 私は国が減反政策を始めたときから協力をしてきました。多いときは13ヘクタールの転作をしてきました。転作作物は大豆や麦もありますが多くはソバでした。

 水田でのソバ転作のためには圃(ほ)場の水はけを良くしたり、作り土をサラサラになるまで細かくしたりしなければ作業性が悪いので、そのような状態にするには幾年もかかりました。

画像
ソバの花畑(信濃町)

 作物ができず荒廃地が増える

 それなのに国は「水田活用直接支払交付金」の見直しを行おうとしています。

 国の言うように5年に一度の水田化をすれば、今まで苦労して行ってきた転作のための圃場の状態が壊れてしまい、作物が作りづらくなってしまいます。そして遊休荒廃地が増えてしまいます。

 このような「見直し」の方針を出してくるのは農家の努力や苦労をまるきり知らない、机上の空論だけで考えている人たちのすることで、農家のことを真剣に考えてくれない人のやることだと言わざるをえません。

 ましてや「5年に一度の水張りを行え」なんていうことは「愚策」以外の何物でもないと声を大にして言わざるをえません。また、それをやらなければ「交付金」の対象にしないなどという方針では、これまで国の方針通りに行い、辛うじて続けてきた農家経営を覆し、経営が困難になってしまいます。

 ソバとエン麦がつくれなくなる

 また、町内にある「農事組合法人野尻湖ふるさと農園」という組織は、20数年前に湿地帯40ヘクタールの排水整備を行い、ソバと飼料用作物のエン麦を作っていますが、ここの人たちも5年で一度水田にするといえば、もうソバやエン麦には戻せないと話していました。

 あまりにも一方的な国の方針に強く憤りを感じます。

 今年の参議院選挙では皆の力で、悪政を押し付ける政府に審判を下し、農家や苦しい生活を強いられている人たちの立場が分かってくれる政府をつくる道を開こうではありませんか。


水田活用直接交付金見直しの主な内容

 (1)水路や畔があっても2022年から5年間、水張り(水稲作付け)が行われない農地は対象外

 (2)多年生牧草は10アールあたり3・5万円から播(は)種しない年は1万円に減額

 (3)飼料用米の複数年加算(1・2万円)の廃止

(新聞「農民」2022.2.21付)
ライン

2022年2月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2022, 農民運動全国連合会