「農民」記事データベース20220207-1491-08

こだわりの商品で
信頼広げるお米屋さん

アグロエコロジーが
生産・販売・消費を結びつけた

大阪・泉佐野 東口洋一さん・千恵子さん


農民連会員の米・麦茶など扱う

 「お米のかいた」3代目の店主

 アグロエコロジー(生態系の力を生かした持続可能な農業)のお米・農産物を扱い、お客の信頼を集めているお米屋さんがあります。泉佐野市の米屋さん「お米のかいた」の店主、東口洋一さん(40)、千恵子さん(39)です。

 JR阪和線東佐野駅からほど近くにある「お米のかいた」さん。祖父の代から、東口さんで3代目です。店内には無農薬米や特別栽培米が多く並びます。また、こだわり材料のみそなど加工品も扱っています。

 和歌山県農民連青年部の高橋範行さん(39)=紀の川市=の無農薬無化学肥料栽培の「生き物田んぼ米(にこまる)」や山形・庄内産直センターの無農薬無化学肥料栽培のササニシキ、ふるさとちばネットワークの無農薬麦茶なども扱っています。

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高橋さんのお米を持つ東口洋一さん(中央)、千恵子さん(右)と高橋さん(左)

「みなさんの健康の支えになれば…」

 「安ければいい」より安全な米を

 25歳の時に店を継いだ洋一さん。ここ3〜4年でお客さんの雰囲気が変わってきたと言います。「『安ければいい』ではなく、『きちんとした食生活がしたい。いいお米が欲しい』という人が特に増えてきた気がします」と洋一さん。

 「米屋に来る人はそもそも健康に気を付けている人が多いです。アトピーやアレルギー対策。知り合いが病気になり、健康に気を付けるようになった方もいました」。こうした声に応え、少しずつ商品を無農薬米などに入れ替えてきました。

 「米の消費が減って家庭での年間の消費量は、一人当たり約30キロくらい。だとすると慣行栽培米が30キロ1万円で無農薬米は1万8千円。年間8千円プラスで健康が買えるなら安いものではないでしょうか」

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店内にはこだわりの米や加工品が並びます

 人気抜群、 真っ先に売り切れる

 高橋さんとの出会いは農民連ふるさとネットワークが開催している「米屋さんと生産者の交流会(大阪会場)」でした。

 「直接話はできなかったのですが、資料を見て『若い生産者でこんな米を作っている人がいるのか』と気になっていました」と千恵子さん。ふるさとネットの湯川喜朗事務局長を通じて取引を始めました。

 「高橋さんのお米は人気で、真っ先に売り切れます。味もおいしいですし、自分の車で仕入れに行っているので運送料がかからず、他の無農薬のお米に比べて安価に提供できています。年ごとの味や品質の変化も少なく、安定しています」と絶賛です。

 また農民連の農産物についても「かゆいところに手が届くものがそろっていますね」と感心しています。

 生産者あっての私たち米屋です

 お客さんが、お米と一緒に入っていた資料を見て、「自分で米作りがしたい」と高橋さんを訪問。今では高橋さんのところで研修を受けており、お米の縁で出会いが広がっています。

 高橋さんは「僕の無農薬野菜を買ってくれている店にも、かいたさんがお米を納入しており、この地域でアグロエコロジーの安全な食を求めるネットワークに二人とも大きくかかわっていることに驚きました」と話します。

 この低米価でまわりの店では安売り合戦が始まっていると洋一さんは話します。「生産者あっての米屋ですし、そんな中でうちに買いに来てくれるお客さんにも感謝です。おいしいお米をそろえるのは大前提として、少しでもお客さんの健康の支えになれればいいですね」と意気込む東口さん夫妻でした。

(新聞「農民」2022.2.7付)
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2022年2月

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