今こそ福島の真の復興と
原発ゼロの未来へ
全国連絡会がオンライン集会
原発をなくす全国連絡会は12月18日、「東京電力福島第一原発事故から10年 今こそ福島の真の復興と原発ゼロの未来へ」全国大集会を開催し、258人がオンラインで参加・視聴しました。
被災者の苦しみ今も
主催者を代表して全日本民医連の岸本啓介事務局長があいさつ。岸本さんは「被災者の苦しみは、今なお拡大している。原発ゼロ法案の共同提出や、総選挙の野党共通政策に原発ゼロが入るなど、運動の大きな成果があった。各地の経験を学び合い、7月の参議院選挙に向け、市民と野党の共闘を強める運動を強化しよう」と訴えました。
日本青年団協議会の棚田一論(かずのり)事務局長が連帯あいさつ。福島県南相馬市出身の棚田さんは「ふるさとに帰ると、町の閉塞感が増している一方、沿岸部の開発だけが進んでいる」と話します。「私たちは原発は命と共存できないものであるとの考えに立ち、活動している。こうした場で得た学びを青年団の活動にも還元したい」と述べました。
楢葉町の宝鏡寺住職、早川篤雄さんが「被災地のいま」と題してビデオメッセージを寄せました。「稲作を中心とした農業を基幹産業とする町には戻っていない。水田70ヘクタールにコンパクトタウン123戸を立て商店街を作って、これを『復興』と言っている」「原発安全神話と同じように、札束で住民をだまし黙らせる復興が行われている」と指摘し、「国が原発推進の社会的責任を認めて国民に謝罪し、事故の根本的原因を徹底的に検証することが、福島の復興と原発ゼロの大前提ではないか」と訴えました。
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「非核の火」「伝言の灯」設置の思いを語る早川さん |
さらに共同広げよう
ふくしま復興共同センターの斎藤富春代表委員は、国の「除染なしで避難解除」「ALPS(多核種除去装置)処理水の海洋放出」の2つの裏切りは「福島切り捨ての極み」と批判し、「惨事便乗型の開発で福島県が決めた『復興ビジョン』をゆがめてはならない」と訴えました。
みやぎ生活協同組合・コープふくしま本部長の野中俊吉さんは海洋放出反対署名に取り組んだ経緯を報告。「学習会が署名推進の原動力となっている。今後も広げていきたい」と決意を語りました。
福島原発訴訟津島原告団副団長の石井ひろ子さんは、「訴えなければ被害は矮(わい)小化され、なかったことにされてしまう」と述べ、高裁での審理に向けて支援を呼びかけました。
「生業を返せ、地域を返せ!! 福島原発訴訟」原告団の中嶋孝団長は、「現状から抜け出すためには原発なき社会のビジョンを持つ必要がある。裁判は私たちのあるべき姿を取り戻す運動だ」と語りました。
また、北海道、新潟、島根、愛媛から各地のたたかいが報告されました。
最後に参加者は、国と東電に責任を認め、逃げず、忘れず、過去のものにしないことを求め、原発ゼロの未来のために、さらに大きな共同を広げることを呼びかけるアピールを確認しました。
(新聞「農民」2022.2.7付)
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