農民連が全国委員会開く
要求で農民と広く結びつき組織拡大を
「家族農業の10年」を進める農政に転換しよう
農民連は1月13日、都内とオンラインで結んで全国委員会を開き、47都道府県77カ所から100人以上が参加しました。
春の大運動成功、参院選勝利へ奮闘誓い合う
米危機打開、組織づくりを力に総選挙をたたかい、
新しいステージ切り開いた
長谷川敏郎会長が開会あいさつ。年明け早々からオミクロン株による第6波のコロナ感染拡大が爆発的に広がっているなか、「グローバリズムと新自由主義による工業的な食と農のシステムが新型ウイルスによるパンデミックの一因だ」と指摘。これまでの工業的な農業のやり方を変えるため、世界中でアグロエコロジーの実践が進み、「コロナ禍を乗り越えるうえでとても大きな意義を持つ。このことに確信を持ち、農業現場での実践や交流・学習を大いに広げていくことが今日の農民運動の責務だ」と述べました。
|
春の大運動成功、参院選勝利を誓い合いました |
次に、農民連は会員数と新聞「農民」読者数で、2年連続で増勢になったことを報告。持続化給付金をはじめ農民の切実な要求に依拠し、たたかいで仲間を増やし、さらに、その力が農民連の活動に新しいステージを切り開いてきたことを語り、「新しい条件を生かし持続的に仲間を増やす活動の探求が今年の活動の大きなテーマ」だと訴えました。
「米危機打開のたたかい」では、5野党と連帯し、さらに市民運動と力を合わせ取り組んできたこと、地方自治体や議会への請願や働きかけで、地方から声をあげてきたことを報告。7月の参議院選挙について、「その勝利は改憲阻止とともに、従来の農政を大転換させることにつながる」と強調しました。
最後に、「ものを作ってこそ農民、今年もしっかり米作り、ものづくりに励み、農民連の活動の発展と参議院選挙勝利に向けてともにがんばろう」と呼びかけました。
5野党からメッセージ
今回、はじめて5野党にメッセージを要請。日本共産党の田村貴昭衆院議員は会場であいさつを行い、立憲民主党の田名部匡代参院議員、れいわ新選組のたがや亮衆院議員、社民党の福島瑞穂参院議員がビデオでメッセージを寄せました。国民民主党の舟山康江参院議員からもメッセージが届きました。
地域からの運動の積み上げが農政を変える大きな力に
常任委員会からの報告を藤原麻子事務局次長(事務局長代行)が行いました。
昨年の総選挙の結果を振り返り、農民連が野党統一候補と(1)米の市場隔離、(2)困窮者への食料支援、(3)戸別所得補償、(4)消費税5%への減税とインボイス(適格請求書等保存方式)中止―の4つの課題で政策協定を結んだことを報告。政権交代には至らなかったものの、野党共闘勢力が自公勢力を前回比20議席減に追い詰め、野党統一の発展と農民連の新しい活動ステージを切り開いた1年だったと総括しました。
岸田政権について、改憲と大軍拡、大企業優遇の「新しい資本主義」、減反を1・5倍に拡大し、稲作農家を6分の1に減らす農政の推進、米国の国益を守り、相手国に一方的譲歩を迫る通商政策への追随など、世界の流れに逆行する施策を批判。気候・食料危機の深まりとともに、アグリビジネスやデジタル企業による農業・食料支配をねらった「国連食料システムサミット」とその日本版の農水省「みどりの食料システム戦略」などの危険な巻き返しを告発しました。
その一方、家族農業、食料主権、農民の権利、アグロエコロジーの運動で食と農の再生、持続可能な社会への実現に農民連が果たす役割が大きくなっていることを強調しました。
最後に、「諸課題で市民・消費者とも共同して地域から農業を守る運動を積み上げることが農政を転換する力になる」と述べ、「地域に影響力をもち、根を張った農民連の建設が求められている。支部(班)の活動を強化し、要求運動に強い組織づくりを進めるためにも春の大運動を成功させよう」と訴えました。
地方議会、 農協などに要請し、 保守層にも共感広がる
討論では15人が発言。総選挙での市民と野党の共闘について、長野県農民連の菊池敏郎事務局長が、野党統一候補と米価やミニマム・アクセス(MA)米、消費税減税・インボイス、戸別所得補償などの課題で協定を結び、たたかった経験を報告。福島県農民連の本多芳司副会長は、安達地方農民連が持続化給付金申請で組織を2・5倍化し、総選挙では、新会員を回って野党統一候補の支持を訴えながら諸要求で対話したことを紹介しました。
諸要求を都道府県や地方議会、農協などに届け、運動を広げている経験では、北海道農民連の富沢修一書記長が水田活用交付金の問題で、道農政部、ホクレン、北農中央会などと懇談し、組合長から怒りの声を引き出したこと、米価下落対策を求める意見書が80近い地方議会で採択され、保守層にも共感が広がったことを報告しました。
埼玉農民連の立石昌義会長は12月に県に対し、食健連、新日本婦人の会のメンバーとともに22年度農林予算要求を行い、MA米の輸入中止などを求めたことを報告しました。
新婦人との産直の問題では、福島県農民連の佐々木健洋事務局長が、「新婦人は運動の最大のパートナーであり、産地見学やネオニコフリー、有機栽培への移行を進めながら、一緒に学び、共有することがアグロエコロジーの中心課題ではないか」と問題提起しました。
千葉・多古町旬の味産直センターの小林由紀夫常務理事は、昨年、コロナ禍でも「産直30周年オンラインぶらぶら祭りイベント」を実施し、消費者参加型の自然エネルギー産直に取り組むなど、新しい交流の形を模索していることを紹介しました。
女性部の活動では、沖津由子・女性部長と本部の満川暁代常任委員が、女性のための相談会について発言。全国各地からの心のこもった食品や農産物、支援物資の提供に感謝の言葉を述べるとともに、深刻な女性の貧困の実態を語りました(4面に詳報)。
平間徹也・青年部長は、自らの地域・宮城での青年部活動を報告。米価下落対策を求める自治体への意見書提出や学生への支援活動について述べました。
多様な要求で結びつき組織拡大に踏み出す
生産点での活動では、栃木農民連の野村和史事務局長が地場産農産物で安心・安全な学校給食をめざす運動について報告。学校給食を考える会が県内25市町にアンケートを実施し、県内産小麦や有機農産物活用の有無などについての現状を把握し、無償化を含めた公的支援の充実や地場産使用の促進を求める運動を強化する決意を述べました。
山口県農民連の世良輝久事務局長は、山口市独自の環境保全型農業の取り組みを紹介。生産者と消費者との協議により生産者認証制度を創設し、行政に有機菜園教室や残留農薬の測定器の設置などの支援を実施させている実践を報告しました。
多様な要求の実現で仲間を増やしている経験では、富山県農民連の水越久男副会長が米価大暴落のなか、「農家を励まし、要求を聞き、ともに解決する活動が求められる」とし、「雪害や持続化給付金などの要求で結びついた人たちへの働きかけで新しい仲間も増えている」と述べました。
奈良県農民連の水井康介事務局長が、種子条例や生産緑地の学習会、無農薬づくり講座などを実施すると同時に若手農家を組織するために全市町村の就農給付金受給者に総当たりし、ものづくりへの要求に応えた研修会などに取り組み、組織拡大でさらに飛躍して大運動を成功させる決意を述べました。
藤原事務局次長が討論のまとめを行い、「春の大運動を成功させ、参議院選挙勝利に向け動きだそう」と呼びかけました。小倉毅副会長による「団結がんばろう」で閉会しました。
(新聞「農民」2022.1.24付)
|