「農民」記事データベース20220117-1488-03

汚染水の海洋放出するな
個人賠償への差別許さない

福島県農民連 政府・東電交渉


加害者責任果たさぬ東電に
怒りの声噴出

 福島県農民連は12月16日、政府・東京電力との交渉を国会議員会館内で行い、福島県北農民連の会員を中心に30人以上が参加しました。

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 交渉に先立ち、参加者は首相官邸前でアピール行動を行いました。

 福島県連の根本敬会長は「原発被災者を生まないために、原発を今すぐやめよ。子や孫、次世代への責任を果たそう」と参加者に呼びかけました。

 福島県北農民連の服部崇事務局長は「ALPS(多核種除去装置)汚染水の海洋放出は福島だけでなく世界的な問題だ。岸田首相はこの声を受け止めろ」と訴えました。

 汚染水根絶の恒久対策求める

 交渉では、福島第一原発事故の汚染水の海洋放出について、広域遮水壁の設置などの具体的な提案も行い、汚染水増加を根絶するための恒久的対策を要求。しかし、東電は「現行の対策で十分効果が出ている」と回答。

 重ねて「現行の凍土遮水壁は、確かに汚染水の減少には効果があるが、止めることはできていないのが現実。東電も国から凍土遮水壁に変わる恒久対策を求められ、『検討する』と回答しているではないか」と指摘し、凍土遮水壁の継続使用の根拠として、耐用年数を問いただしましたが、「メンテナンスで継続使用ができる」と答になっていない回答に終始。凍土遮水壁と海洋放出ありきの東電の姿勢に大きな怒りの声が会場から起こりました。

 賠償差別にも誠実な回答せず

 前回の交渉で明らかになった、一部品目で農民連などの個別賠償が、農協を通じた団体賠償と比べ不当に低い賠償額に差別されていた問題では、福島県連は賠償の責任者である東電福島復興本社の代表と補償相談室長に、交渉に出席しての謝罪と説明を要求していました。しかし、両者は出席せずに文書での謝罪と経過説明となりましたが、まともな経過説明も再発防止対策もない不十分なものでした。

 福島県連は、原因となった東電の新賠償方式に対し「現場の社員も説明できない代物」と批判。生産者自身が、従来の賠償方式と選択できるよう要求し、東電は年内に回答することを約束。28日に説明のために福島県連を訪れましたが、「回答できることがない」という極めて不誠実な回答でした。

 粘り強い交渉で成果を勝ち取る

 この間の粘り強い交渉で前進も生まれました。(農)浜通り農産物供給センターは、2015年の商工業2年分一括賠償後も、超過分の損害賠償請求を行ってきました。

 「一括賠償後も被害がある限り賠償する」といいながら、これまで超過分の賠償を認めてこなかった東電でしたが、この間の交渉で請求の妥当性が経産省にも伝わったことで、対応が変化。今回の交渉前にようやく賠償に応じることになりました。あきらめずに訴え続けたことが、国と東電の姿勢を動かしました。

(新聞「農民」2022.1.17付)
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2022年1月

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