北海道農民連
ビート生産が困難に直面
12月議会で生産守る意見書採択めざす
生産力を守る輪作体系崩れる
北海道の畑作農民は、小麦やビート、小豆、大豆、じゃがいもなど違う作物を順番に作る「輪作体系」で、生産力を守っています。
砂糖の自給率は40%で、国産の砂糖は北海道のビート、沖縄県と鹿児島県南西諸島のサトウキビから作られ、北海道のビートが国産砂糖の8割を占めています。
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ビートの収穫(士幌町) |
国産砂糖は、輸入の砂糖や異性化糖などに課する調整金と国費を財源に、サトウキビとビートの生産者、製糖工場への交付金で生産が維持されてきました。輸入砂糖が国産砂糖を支える、いわゆる「国産と輸入が共存」する仕組みで、さらにビートは産糖量64万トンの枠を超えた部分には交付金が当たらないなど、食料自給率を引き上げる政策になっていません。
砂糖の消費量が減りつづけ、それに伴って砂糖の輸入も減り、輸入砂糖が減れば輸入に課している調整金が減ります。一方でビート糖の生産量は増える傾向で、国産砂糖を支える調整金の会計は赤字が続き、この赤字を理由に、生産農民の知らないところで、産糖量64万トンの枠を減らしてビートの作付けを制限する議論が進み、畑作の輪作体系が崩れる深刻な問題に直面します。
道内8カ所ある製糖所のひとつ、本別町の北海道糠業の製糖所(1962年操業開始)が、老朽化を理由に2023年3月に閉鎖することを8月30日に突如発表し、「ビート作りが続けられるのか」「乳牛のエサで使うビートの搾りかす(ビートパルプ)は確保できるのか」「働いている人が減り、町の経済への影響が避けられない」など不安な声がでています。道内各地の製糖所は負担が増える施設改修の経費に苦慮し、COP26(国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議)で問題になっている火力発電で電力、蒸気を確保している製糖所もあります。
国産砂糖を守るためには、国の支援をふやし、国産砂糖を増やす政策に転換することが必要です。北海道農民連は、12月議会でビートの生産を守る意見書の採択をめざした取り組みを進めています。
(北海道農民連書記長 富沢修一)
(新聞「農民」2021.12.13付)
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