奈良県農民連北和センター

がんばる新規就農者たち

直売所「みのりの里しらにわ」（生駒）に出荷

　奈良県農民連は今年10月、県北部の生駒市に直売所「みのりの里しらにわ」をオープンさせました。直売所のある生駒市でがんばる新規就農者が、県農民連北和センターに集い、活躍しています。3人の生産者を北和センター事務局のみなさんが取材しました。

多品目の野菜を生産
「毎日が楽しい！！」

山本　昌史さん（48）

自分で作った野菜を手にする山本さん

　知人の紹介で、農民連に就農の相談をし、今は「いこま満天ファーム」を経営して直売所や産直センターに出荷しています。ハウス1棟（1・8アール）、露地約30アールで、ミニトマト・なす・サツマイモ・里芋をメインに多品目野菜を生産。「毎日が楽しい」と山本さん。畑での出荷調整場が狭く、自宅に戻って作業する日々。時間のロスを減らせるように、畑近くに場所を探していますが、なかなか見つからず、苦労しています。

　山本さんのこれからの目標は、「野菜好きの子どもが増えれば」と子どもたちと農業体験を企画しています。「見た目・鮮度・農薬不使用などおいしいと思えるポイントは人それぞれですが、自分も要望に少しでも応えるようにおいしい野菜を作っていきたい」と話していました。

新鮮・安心な野菜を
お手頃価格で届けたい

平沼　善朗さん（46）

赤く熟したトマトを手にする平沼さん

　従業員の労災保険を農民連に相談し、加入後は有機農業の勉強会への参加や直売所出荷をしています。トマトや葉物野菜が中心で、イチゴ・玉ねぎなども生産しています。

　平沼さんのこだわりは「地産地消。可能な限り新鮮・安心な野菜を地元の人に食べてほしいです。技術力を上げて品質・収量を向上し、良いものをお手頃価格で届けることを目指して、日々精進中です」と話します。

　栽培知識や技術が追い付かず、昨今の極端な気候変動も加わり、計画通り栽培が進まない苦労はありますが、「環境負荷の少ない、より自然に優しい栽培方法で、品質・収量を向上させ、より良い野菜を消費者へ届けることがこれからの目標です」と語っていました。

一軒一軒訪ねて配達
新しい供給先の開拓

平澤　大さん（45）

ハウスで笑顔の平澤さん

　13アール9棟のハウスでは8種類のレタス、ハーブ、エディブルフラワーの他、カーボネロ、早採りトウモロコシなど多品目の野菜を栽培しています。今年は路地栽培のレタスが、すべて野ウサギに食べられ出荷できなかった時期もありました。

　収穫野菜の供給先は、一軒一軒足を運んで営業した飲食店が中心です。週2回の配達を奥さんと手分けして回ります。上質な野菜への信頼とともに、お店のシェフとの会話が、新たな供給先の開拓や新品目の栽培につながることも多いと言います。

　コミュニケーションを大切にする平澤さんは、農民連直売所への出荷時にお客さんや店のスタッフに、野菜の知識や料理法など熱心に話します。

　年間栽培の計画とともに、毎年7月は畑も家族も夏休みを取ることにしています。畑には緑肥作物を植え、太陽熱消毒をします。「農家は空いた畑があると種をまき世話をしたくなるので思い切って畑も休ませ、家族4人も長期の旅行に出てリフレッシュし、充電する期間と決めているんです」

　「幸せと感じる時は」という質問に「日が昇る早朝の静けさの中で作業をしている時間は至福の時ですね。また畑で育っていく野菜の美しさにも感動します。そして目指す農業の方向が妻と同じということもとても幸せなことです」と、笑顔で語ります。