旬の味
秋口からは段々と草の再生力が落ち、春から夏に作った越冬飼料を少しずつ給与するようになる。次の年の採草に向けて、施肥、播種(はしゅ)を行っていく。次の年の草の出来はこの時点で大きく決まるので、重要な作業だ▼一段落すると山や耕作放棄地の開拓も行って、農地を増やしていく。年間、1頭ずつ牛を増やすには、少なくとも5反、理想は1町の土地が必要だ。近年の日本農業の流れは、質の高いものを作ってブランド価値を付加し海外に輸出するというものだ▼しかし果樹、ハウス栽培では土地は多くは使えず、その上、耕作放棄地のほとんどを占める水田の多くは硬盤層があり、まともに作物を育てるのにすら苦労する▼そこで湿気にも強い牧草、飼料用米を活用して畜産振興する、というのが本来の形と思うのだが、現実は人手や費用がかさむからか、楽な輸入飼料に頼り、飼料自給率は右肩下がり。荒れた目の前の国土を放置して海を渡ってくる餌で作るものにどれだけのブランド価値があるのか、甚だ疑問である。 (T)
(新聞「農民」2021.11.22付)
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[2021年11月]
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