東日本大震災と原発事故から10年
災害対策全国交流集会
復興は被災者の人権が回復されてこそ
災害対策全国交流集会が11月7日、オンラインで開催されました。35都道府県から160人が参加しました。主催は同実行委員会です。
全国災対連(災害被災者支援と災害対策改善を求める全国連絡会)代表世話人の住江憲勇さん(全国保険医団体連合会会長)が開会あいさつ。「政府の支援策は、被災者に寄り添ったものではない。40年来の新自由主義経済によって引き起こされたことは何かを議論いただきたい」と話しました。
復興10年を振り返ると
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津久井弁護士
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兵庫県弁護士会会長の津久井進弁護士が「東日本大震災の復興10年を振り返って」と題して講演しました。
「被災とは一人ひとりの人権が損なわれることで、復興とは一人一人の人権が回復されること」と述べた津久井さんは、「国際的にみてもコロナ禍は災害としてとらえるべき」と指摘します。
災害時に行政側から手を差し伸べることの重要性を強調し、被災者一人一人の実情に合わせた支援を実施する「災害ケースマネジメント」を紹介。「『どんな危機の場面でも一人ひとりを大事にする』ことが10年の教訓だ」と述べました。
被災者一人ひとりの実情に合った支援を
被災者支援制度 抜本的見直しを
被災地からのは4人が報告。東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センターの小川静治事務局長は莫大な復興予算の使途について資料を示しながら、「莫大な復興予算の投入は、被災者を幸せにしたのだろうか」と問いかけ、抜本的な法制度の見直しを訴えました。
東日本大震災津波救援・復興岩手県民会議の金野耕治事務局長は今年12月で打ち切りが決まっている国保などの医療費の補助について「今後も必要な支援を求めていく」と発言。
惨事便乗型開発で復興歪めるな
ふくしま復興共同センターの斎藤富春代表委員は、「除染なしで避難指示の解除ができるよう変更し、汚染水の海洋放出を決定したのは、国による二重の裏切りであり福島切り捨ての極み」と批判。「国は惨事便乗型開発で福島の復興を歪めてはならない」と訴えました。
地震と水害に相次いで見舞われた熊本からは、熊本県被災者支援共同センターの山本伸裕世話人が「コロナ禍で避難所にボランティアが入れず、要求を組織して運動化することも、支援自体も困難だった」とコロナ禍の下での支援の課題を報告しました。
閉会のあいさつで小畑雅子代表世話人(全労連議長)は「被災者本位の復興と環境政策転換が切実に求められている。地域で災対連の活動をさらに広げよう」と呼びかけました。
(新聞「農民」2021.11.22付)
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