「農民」記事データベース20211025-1478-10

直売所だより

みのりの里しらにわ
生駒市にオープン
奈良県農民連


地産地消で地域農業守る拠点に

画像  奈良県農民連の新しい直売所「みのりの里しらにわ」が10月1日、生駒市のならやま大通り沿いにオープンしました。大阪や京都からもアクセスが良い立地にあります。直売所のこだわりは、生産者から栽培管理カードを提出してもらい、農薬の使用状況をチェックし、それに基づく消費者へのアピールと情報開示をしています。そして消費者が安心して買い物できる品質管理と生産者が安心して出荷できるこまめな品質維持管理を行っています。

画像
新しくオープンした直売所「みのりの里しらにわ」

栽培・品質管理が行き届いた農産物

 自給率14%で全国最下位級

 奈良県では昨年3月に県議会で「奈良県豊かな食と農の振興に関する条例」が賛成多数で可決され、条例に基づき今年4月に「豊かな食と農の振興計画」が策定されました。しかし、計画は首都圏への販売戦略や海外への輸出などを強調する一方、自給率14%で全国最下位クラスである県内での地産地消の推進や中山間地での農業再生などへの具体的な方策がほとんどありません。

 また、種子条例の制定を求める県民の声にも背を向ける荒井知事に対して批判の声が農家だけでなく消費者の間にも広がっています。

画像
栽培・品質管理が行き届いた農産物が並び、品ぞろえ豊富な店内のようす

 県に振興計画の見直しを提案

 県農民連は10年近く「学校給食こそ最大・最強の地産地消」を合言葉に地場産農産物の活用を進める取り組みを消費者のみなさんとともに進めてきましたが、今年8月にはこうした活動も踏まえて県に振興計画見直しの提案を行いました。

 同時に、20〜30年前に県東部や南部の農村に開設された多くの農産物直売所の運営が厳しくなってくる中で、鳥獣害の深刻さも重なり生産をあきらめる農家が増え、耕作放棄地の増加が大きな課題でした。農家が多い県東部や南部で生産された農産物を消費者の多い北部に毎日届けて販売する小さい直売所開設が県全体の地産地消の推進にとっての重点課題となっていました。

県内を毎日走る
集荷トラック便を活用して

 約15年前から農産物直売所「旬の里まみが丘」を運営し、約30年前から産直センターを運営して県下一円に唯一の集荷トラック便を毎日走らせている農民連が、直売所を県北部に展開することができる条件を持っているなかで、直売所2号店の建設方針を2年前に決定して準備を進めてきました。

 近くに良い店できてうれしい

 オープン1週間前に、スタッフの研修を開始。1日目の座学では農業の現状や農薬・野菜の表示などを学習しました。開設した店のインスタグラムは、オープン前の店舗の様子を掲載し、店の出来上がりを消費者も一緒に楽しんでもらえるように工夫をしました。

 そして3日間のプレオープンを経て、10月1日のグランドオープン。当日は、開店前から30人程の行列ができ、入店人数を制限するほどの大盛況でした。総来店客数は460組、特に旬の柿やなし、ぶどうの果物やこだわりの加工品などがよく売れました。建物は奈良県十津川村の木材を使用し良い木の香りがします。

 オープンから2週間が経ちましたが、リピーター客が増えています。お客様からは「珍しいマコモダケを買ったけど、すごくおいしかったよ」「この間のインゲンおいしかった、また買いに来たよ」「近くに良いお店ができてうれしい。これからが大変やけど応援してるからね」とうれしい声をいただいています。

 売り上げ状況を報告し意見交換

 11日には、生駒市で農業を営む生産者で結成された運営委員会の会議を開きました。杉村出店長が、オープンからの売り上げと店舗現状を報告。その後の意見交換では、「他の店に比べ、野菜が高い印象があるようだ。なぜこの値段なのか、店のこだわりを伝えることが大切。お客さんの声は必ず、生産者に届けてほしい」と有山良治さん。

 若手農家の平沢大さんは「店のスタッフは、生産者と野菜談義をし、消費者に野菜の良さを伝えてほしい。ひとりでやったことをみんなで共有することが大切」などの意見を述べました。杉村店長は「消費者に農作物の栽培管理をアピールし、こだわりの野菜を求める客層やまとめ買いしてくれるリピーターを増やしたい」と意気込みを話しました。

 宣伝チラシは、オープンの当初の混雑を避けるため、近辺地域に4000枚のみ折り込みをしました。それだけでは店の周知度が低く、範囲を広げ、大きく宣伝をし、観光型ではない地域密着型の直売所を目指していきたいと考えています。

(奈良県農民連北和センター事務局長・中島裕子)

 住所 奈良県生駒市南田原町270の2(近鉄けいはんな線白庭台駅から徒歩10分)

 営業時間 午前9時半から午後5時半、無休(お盆、年末年始を除く)

 問い合わせ 電話 0743(20)6741

(新聞「農民」2021.10.25付)
ライン

2021年10月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2021, 農民運動全国連合会