コロナ禍で需要減少
牛乳の生産を抑制へ
北海道農協が決定
輸入増やす政府の姿勢問われる
国産牛乳の55%を生産する北海道で10月8日、北海道農協酪農・畜産対策本部会議は、コロナ禍の需要減、消費減で余ってきた牛乳の生産を抑えることを決めました。これに対して酪農生産者に不安が広がっています。
国が進めた補助事業のクラスター事業で大規模酪農が道内各地に相次ぎ、酪農生産者は減少する一方です。乳牛も生産乳量も右肩上がりに増えつづけ、1戸平均140頭の牛を飼育し、30年間に2・5倍の規模になっています。
しかし、コロナ感染拡大で学校給食の休止、業務用需要の落ち込み、天候不順による消費減など、コロナ禍以前とは打って変わった状況になり、「過去のように牛乳が余り捨てることになるのでは」という不安がだされてきました。
北海道の牛乳の8割はバター、脱脂粉乳、チーズなどに加工されます。
コロナ禍で増えたバター、脱脂粉乳の在庫を減らす対策が、生産者の負担で行われている最中に、国は10月10日「WTO(世界貿易機関)の約束だから」「輸入バターを求めるメーカーもあるから」と、3100トンのバター輸入を決めました。
酪農生産者のバター、脱脂粉乳の在庫を減らす努力に背を向け、農業団体からの「輸入は慎重に」の要望を無視した国・農水省の姿勢が問われます。
国民の意見に耳を傾けるという、岸田政権の欺まん性が明らかになりました。輸入が国内生産を抑えている証といえます。
(北海道農民連書記長 富沢修一)
(新聞「農民」2021.10.25付)
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