いよいよ総選挙
立憲・共産が政権協力で合意
「安倍・菅政治継続の自公」か
「野党政権」かが鮮明に
岸田首相は、就任の記者会見で衆院を10月14日に解散し、10月19日公示、31日投票で総選挙を実施することを表明しました。なぜ野党が要求する予算委員会で新政権がめざす政治の中身を議論しないのか。内閣支持率が高く出る「ご祝儀相場」のうちに逃げきるという党利党略が透けて見えますが、いよいよ天下分け目の総選挙に突入します。
こうしたなか、9月8日に「市民連合」が提案した「総選挙における野党共通政策の提言」について立憲民主党、日本共産党、社民党、れいわ新選組の党首が調印しました。さらに30日には立憲民主党と日本共産党の党首が野党政権に向けた「政権協力」で一致し、小選挙区での候補者の一本化を加速させています。
立憲民主党と日本共産党の政権協力は、市民連合の提案を共通政策として実現するために共産党は閣外から協力するというものです。これで、看板を変えただけの安倍・菅政治を継続させるのか、市民と野党の共闘で新政権を実現するのかという選挙の構図がいよいよ鮮明です。
政治を大元から変える市民連合が提案する政策
市民連合が提案する政策は、6つの柱(別掲)と、20の項目からなり、そのなかには次の政策が明記されています。
「安保法制、特定秘密保護法、共謀罪法などの法律の違憲部分を廃止」「コロナ禍に乗じた憲法改悪に反対」、「核兵器禁止条約の批准をめざし、まずは締結国会議へのオブザーバー参加に向け努力する」、「沖縄辺野古での新基地建設を中止」、「従来の医療費削減政策を転換し、医療・公衆衛生の整備を迅速に進める」、「消費税減税を行い、富裕層の負担を強化するなど公平な税制を実現する」、「石炭火力から脱却し、原発のない脱炭素社会を追求する」「農林水産業への支援を強め、食料安全保障を確保する」などです。
これらは安倍・菅政権を根幹から転換する主要なポイントであり、国の基本問題で共通政策を掲げ、「政策を実行する政権の実現」で市民と野党が合意したことは政治を変える大きな一歩です。
新自由主義農政を転換させ、農業に希望を
農業での共通政策は、「農林漁業を支援し、食料安全保障を確保する」という簡潔な表現になっていますが、昨年9月19日に市民連合が野党と合意した踏み込んだ提案を踏襲するとともに、この間の運動で野党共闘を発展させてきた内容が凝縮されています。野党は一致してTPP(環太平洋連携協定)や種子法廃止、種苗法改悪に反対し、米価暴落問題でも一致して政府による過剰米買い上げや食料支援制度の実現を主張してきました。戸別所得補償制度と種子法などについては復活法案を共同提案してきた実績があります。
野党政権が実現すれば、新自由主義的農業政策で米価を暴落させ、生産基盤を突き崩して自給率を最低にさせた安倍・菅農政を大本から転換し、安心して農業が続けられる道が切り開かれます。消費税を減税し、インボイスを廃止に追い込む可能性も現実的になります。日本の農業の希望は、市民と野党の共闘で新政権を実現することによって切り開かれます。その現実的可能性が生まれているいま、結成以来、農業と農民経営を守るためにたたかってきた農民連が真骨頂を発揮するときです。
市民連合が提案する政策の6つの柱*
(1)憲法に基づく政治の回復
(2)科学的知見に基づく新型コロナウイルス対策の強化
(3)格差と貧困を是正する
(4)地球環境を守るエネルギー転換と地域分散型経済システムへの移行
(5)ジェンダー視点に基づいた自由で公平な社会の実現
(6)権力の私物化を許さず、公平で透明な行政を実現する
(新聞「農民」2021.10.18付)
|