自民党新総裁に岸田文雄氏
表紙を替えても「安倍・菅直系政治」菅義偉首相の政権投げ出しをうけ、自民党は岸田文雄前政調会長・外相を新総裁に選出しました。河野太郎規制改革担当相や高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行の3候補を破っての当選です。
路線は何も変わらず岸田氏は「自民党は生まれ変わった」とのべています。しかし、同氏は8年9カ月に及ぶ「安倍・菅政治」のもとで、外相と自民党3役の政調会長を計7年9カ月務めあげ、政権中枢にどっぷりつかってきた人物。農産物輸入の全面自由化を進めるTPP(環太平洋連携協定)や日欧EPA(経済連携協定)、日米貿易協定などを強行してきたほか、憲法違反の安保法制=「戦争法」制定、沖縄・辺野古での米軍新基地建設、消費税10%増税を推進した当事者です。 幹事長には甘利明元TPP担当相が就任し、悪夢の“TPPコンビ”の再来です。 岸田氏は「国民の声に耳を澄ます」と語っています。しかし、総裁選の「陰の主役」といわれ、決戦投票で議員票を動かして岸田氏を総裁に押し上げたのは安倍晋三元首相であり、「耳を澄ます」相手は、国民ではなく安倍氏です。まさに「安倍・菅直系政治」であり、表紙だけ替えても政治の中身は何も変わりません。
コロナ、農政では総裁選で岸田氏は「新自由主義からの転換」をうたい、「農業構造改革一辺倒を見直す」、米過剰については「市場隔離も含め十分な支援を検討」するとしています。それならば、安倍・菅農政の全面的な見直しが必要ですが、岸田氏は「アベノミクスの堅持」を掲げる支離滅裂ぶりを露呈しています。コロナ対応でも、安倍・菅政治による失政への反省は一言も述べず、「ていねいで寛容な政治」を強調しています。農政・コロナ失政に「寛容な政治」では、誤りを繰り返すだけです。 改憲でも岸田氏は、「改正をしっかりと実現しなければならない」と、3年間の総裁任期中を目指すと明言。また、原発再稼働、大軍拡を進めると主張し、被爆地・広島を選挙区にしているにもかかわらず、被爆者の悲願である核兵器禁止条約への署名には背を向け続けています。 安倍・菅政権で噴出した国政私物化や「政治とカネ」問題では腰砕けです。地元・広島の河井元法相夫妻の選挙買収事件では「必要があれば説明する」というだけ、「森友・桜」問題も、安倍氏の顔色を見て、再調査を拒否しています。
政権交代で日本の未来を自民党は看板を替えて総選挙に打って出ました。しかし「安倍・菅直系政治」では、政治の転換は不可能です。総選挙に向けて野党は憲法にもとづく政治の回復、米価暴落対策などで一致しており、9月30日には自公政権を倒し、新しい政治をつくるための政権協力の合意が成立しました。力を合わせて自民・公明の政治を終わらせ、新しい日本をつくろうではありませんか。
(新聞「農民」2021.10.11付)
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[2021年10月]
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