本の紹介
『協同組合の源流の思想と
社会改革への対応』
―国政改革を展望して―
北出俊昭著(筑波書房)
協同組合の源流から社会改革の
課題と対応を検討する
本書は、協同組合運動の先達、オウエン、サン・シモン、フーリエおよびマルクス、エンゲルス、レーニンの意見を対比して、現代における協同組合の社会改革への課題と対応について検討したものです。
思想が異なる両者を比較検討した理由は、両者は資本主義に起因する災厄の改善・改革をめざしていたことでは共通していたことに加え、オウエン、サン・シモン、フーリエの意見には、「空想」として、時代を超えた人間社会のあり方も示されていました。とくに、エンゲルスは前述の3者を「空想的社会主義者」として批判しましたが、同時に、一面では評価もしていました。
資本主義体制が政治的にも経済的にも格差の拡大などで矛盾が顕在化し、日本でも国政の私物化や強権政治に対する批判も強まっているいま、国政を多数者の参加により改善・改革するうえでは、こうした比較検討も無駄ではないはずです。
さらに本書では、コロナ禍で格差と貧困が広がるなかで、協同組合が果たすべき役割を考えるヒントを与えてくれます。協同組合が民主的で平等、公正、連帯を基礎にした社会の創造をめざし、自主的主体的取り組みを強めることにこそ、国政革新の展望があると述べています。
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四六判、155ページ、並製
価格 2200円(税込み)
問い合わせ 筑波書房 電話 03(3267)8599、Fax 03(3235)5949
※オンライン書店でも注文できます。
(新聞「農民」2021.10.4付)
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