「農民」記事データベース20210927-1474-20

旬の味


 新規就農してまず困ったのが住居探し。小学校入学前の子どもがいたので、どこでも良いというわけにはいかない。近くの公団は作りも農家に不向きだし、あまりに古く耐震問題で新規入居は募集していなかった▼田舎には空き家が沢山あるようにみえても賃貸物件は少ない。畑の賃借契約はできても、住宅は自力で探すしかなかった。田舎の土地を借りて農業をする場合、その土地に縁もゆかりもないと家探しは本当に難しい▼息子も3歳までは畑周辺の虫や石などの自然と遊んでいたのに、4歳近くなるとテレビが見たい、おもちゃや本がない、畑は飽きた、家に帰りたい。そう訴えることが多くなってきた。仕事を終わらせないことには帰れないので我慢させるしかなかった▼私は、自分が行く所はどこへでも自転車の前かごに乗せて息子を連れて行った。畑にも、別の仕事にも。保育園が休みの日は職場に連れて行って働いた。体力も気力も必要だったけれど、若かったので、嵐のような日々を過ごすことができた。

(恵)

(新聞「農民」2021.9.27付)
ライン

2021年9月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2021, 農民運動全国連合会