「農民」記事データベース20210927-1474-08

農研機構

温暖化が進めばコメ収量2割減

白未熟粒も増加

関連/すでに農業に大打撃


 地球温暖化が深刻化すれば、コメの収量が今世紀末には20%減収し、白未熟粒が40%を占めるようになる、との研究結果を、国の農業の研究機関「農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)」が発表しました。

 これまでの研究では、温暖化してもCO2の増加が光合成を促進し、2度程度の気温上昇であればむしろ増収となると予測されてきました。しかし岩手県や茨城県にある水田で、CO2濃度の高い環境を人工的につくった栽培実験を20年かけて行ったところ、出穂後1カ月の平均気温が30度になると、こうした増収効果はほとんどないことが判明したといいます。

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屋外の水田でCO2を人工的に増加させ、水稲を栽培するFACE(フェイス)実験。岩手県雫石町と茨城県つくばみらい市で実施された

 農研機構ではこの新しい知見を踏まえ、気温上昇とCO2増加の両方を考慮して温暖化の影響予測をやり直した結果、従来の予測よりもずっと早く減収が始まり、4・8度まで気温上昇するケースでは減収は20%に及ぶと推定しています。

 また白未熟粒の割合も今世紀半ばには約20%に、今世紀末には約40%に増えると予測しています。


農水省
「地球温暖化影響調査レポート」

すでに農業に大打撃

 温暖化の悪影響は、現在すでに深刻です。

 農水省が都道府県からの報告をまとめた「地球温暖化影響調査レポート」によると、2020年産の水稲での虫害発生は19都道府県にのぼり、07年の調査開始以来、最多となりました。

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 昨年、西日本を中心に猛威を振るったトビイロウンカは、6、7月に中国大陸から飛来した後に高温が続いたことで増殖。近年、被害が増えているカメムシやジャンボタニシも、記録的な暖冬が影響したと分析しています。

 また、果樹や野菜、畜産などでもさまざまな温暖化の被害の報告が、年を追うごとに増加しています。害虫防除や新品種・新技術の導入、あるいは作目転換など、温暖化に対応するための多大な負担に、生産者が直面する事態となっています。

(新聞「農民」2021.9.27付)
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2021年9月

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