「農民」記事データベース20210920-1473-01

菅首相が政権投げ出し

国民の世論と運動に追い詰められ


市民と野党の共闘で
新しい政治・政権を

 菅首相は9月3日、自民党の総裁選に立候補しないことを表明し、政権を投げ出しました。「こんな政治はもう我慢できない」という国民の世論と運動に追い詰められた結果です。

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次期総裁選への不出馬を表明する菅首相=9月3日(首相官邸ホームページから)

 自公政治そのものが破たん

 第一に、菅政権は、コロナ対応で無為無策を重ね、感染爆発と医療崩壊を招いたばかりか、病床削減を進め、高齢者の医療費・窓口負担を2倍化する法律の制定まで強行。困窮する個人や業者・農家への持続化給付金も1回きりなど冷酷な対応に終始しました。

 第二に沖縄の辺野古新基地建設の強行、日本学術会議に対する違憲・違法な人事介入など、無法な強権を振るいました。

 第三に、鶏卵汚職をめぐる元農水大臣の議員辞職、カジノを含む統合型リゾート(IR)事業をめぐる汚職事件など、菅政権のもとで「政治とカネ」をめぐる事件が続発しています。

 こうした政治に対する国民の怒りが頂点に達したなかでの政権投げ出しです。

 同時に、9年間にわたる安倍・菅政治、自民党と公明党の政治そのものの破たんにほかなりません。自民党総裁選が行われていますが、誰が新しい総裁になったとしても、破たんした自・公政治の枠内での争いにすぎず、ここから新しい政治や現状を打開する展望はまったく出てきません。

 新自由主義の悪政次々に強行

 失政と強権政治は農政でも同じです。「秋田のイチゴ農家出身」を売り物に登場した菅首相。しかし、この1年間は結局、新自由主義の安倍・官邸農政の継承で、農家には冷たい農政でした。(安倍・菅農政の詳しい検証は次号で特集します)

 菅政権は発足以降、農家の自家増殖を制限し、種苗を多国籍企業に明け渡す種苗法改定(昨年12月)、国内の野菜や果樹の輸入増に道を開くRCEP(東アジア包括的経済連携)協定の承認(今年4月)を短時間の審議で強行しました。さらに農業のバイオテクノロジー化を進める「みどりの食料システム戦略」の策定(5月)も強行しました。

 農民の声聞かず米価下落も放置

 何よりも菅政権の、国民・農民の声に一切耳を傾けない冷酷な姿勢が表れているのは、米価の問題です。

 コロナ禍で需要が減り、各地で発表される米の概算金も軒並み1俵(60キロ)8000円〜9000円になっており、生産コスト1万5000円を大幅に下回っています。現場からの「過剰米を備蓄米として買い入れ、需給の安定を」「コロナ禍による生活困窮者に食料支援を行え」の声は強くなるばかりです。

 農民の切実な声にはまったく耳を傾けず、米価の安定や食料支援を一切拒否する菅政権。これに対して、農民連だけでなく北海道・東北6県のJA中央会会長が連名で「米の需給対策」を要請するなど、農民のたたかいで、米危機打開の展望を切り開きつつあります。

 いま求められていることは、自・公政治の枠内での首のすげ替えでなく、政権交代です。自・公政治そのものを退場させ、市民と野党の共闘で新しい政権をつくるときです。総選挙で政権交代を実現し、安倍・菅政治、自・公政治に終止符を打ちましょう。

(新聞「農民」2021.9.20付)
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2021年9月

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