「農民」記事データベース20210906-1471-09

山村集落の道普請

美しい景色は住人が守っている

無料奉仕活動で地域を維持


十日町市松之山

相澤 堅さん

新潟

 みなさんこんにちは。新潟県十日町市の山村から、農村集落の日常の報告をいたします。

 農村は、都市部の暮らしと様々なことが違いますが、その中の1つに「〇〇普請(ぶしん)」というものがあります。「〇〇普請」は集落のインフラを維持するために行う、無料奉仕活動なのです。基本的には、各世帯一人の参加が義務となっている所が多いです。

 今年、実家から独立したことで、初めて世帯主として参加したのですが、なかなかに大変。3〜4人程度に分かれて、集落の各数百メートルの道の管理作業を行いました。

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道の草を刈り、片付けていきます

 初めのうちは、雑談をしながらの作業ですが段々と口数が少なくなってきます。私は、最長区間の農道に回されたのですが、後半の「応援はまだか?」の合唱に参加していました。

 休憩の時には、今後の話題がでましたが、「数年たっても変わらないのはメンバーの顔ぶれと路線だけ。1年経つごとに年と顔のシワが増えていく。高齢化が進む山村ではこうした活動も、後何年できるのか」といった、憂えるものが多かったように思えます。

 農村にとっての普請は、集落や農業インフラの維持には欠かせません。しかし、高齢化や集落人口の減少のため年々、厳しくなっています。更にコロナ禍では、都市からのサポートも減りました。毎年ヘルプしていただいた田んぼサークルも去年、今年と参加がありませんでした。

 確かに、旅行先からながめる管理された里山は、大変美しいと思います。その美しい景色は、そこに住む人たちがいるから守られていることは余り知られていないように思えます。普請活動を体験し、里山の維持を理解することできっともっと美しいと感じられるのではないか。そんなことを思っています。

(新聞「農民」2021.9.6付)
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2021年9月

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