配合飼料価格の高騰対策と
豚熱ワクチン接種の支援強化を
農民連が農水省に要請
農民連と農民連ふるさとネットワークは8月6日、配合飼料価格高騰と豚熱の対策強化を農水省に要請しました。新型コロナの感染拡大を受けて、要請はオンラインで行われ、北海道、群馬、埼玉、千葉、神奈川、岐阜、宮崎の酪農家や養豚農家の農民連会員らが参加しました。
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農水省も今回初めてオンラインで対応 |
補てん基金に国の拠出金増額を
今年に入ってから世界的な穀物価格や海上運賃が高騰している影響で、配合飼料価格が高騰しており、7〜9月期は1トンあたり昨年比で1万円を超える高騰となっています。
飼料価格の高騰には、生産者と配合飼料メーカーの積立基金による「通常補てん」に加えて、価格の上昇幅が大きい時には、国と配合飼料メーカーの積立基金から「異常補てん」が行われる二段構えの制度となっており、今年に入ってからは両方の補てんが行われる事態となっています。
しかし穀物価格の高騰は今後も長期化することが懸念されており、要請では、補てん基金の積み立て状況を明らかにするとともに、異常補てん基金が枯渇しないよう、国の拠出金を増額することを要求しました。
農水省は、「異常補てんは8年ぶりの発動であり、基金財源は1400億円の積み立てがある。今後も楽観はできないが、当面は推移を注視していきたい」と回答。
生産者からは、「8年前の高騰時には補てん基金が枯渇した経緯があり、今後、高騰が長期化しても確実に補てんが行われるよう、国の拠出を積み増してほしい」との声や、「国はもっと国産飼料の拡大に真剣に取り組んでほしい」との声が出されました。
また、養豚農家からは「飼料米の活用を増やしたいが、便乗値上げされている。もっと制度や価格決定の透明性を高めてほしい」との要望も出されました。
ワクチン2回接種で免疫確実に
豚熱対策については、生産者から、ワクチン接種料金が生産者の大きな負担となっている実態が語られ、「群馬県では県知事が民間の獣医師を認定する制度が始まり、ワクチンの薬剤料金へ県が上乗せ補助する画期的な制度も始まった。ぜひこの取り組みを全国に広げてほしい」と要望しました。
また母豚からの移行抗体が切れてからワクチン接種までの「空白期間」の子豚に感染が相次いでいることについて、「一つの農場内でも個体によってバラツキが大きくなっていることが専門家からも指摘されており、より確実にたくさんの子豚に免疫がつけられるよう、ワクチンの2回接種を認めてほしい」と、求めました。
このほか、現在見直し作業が続いている飼養衛生管理基準で、生産者に対し、全頭殺処分となった際の埋却地の確保やその近隣住民の合意を、事前に取るよう求めている点についても「きわめて困難。国や県の強力な援助が必要」と訴えました。
(新聞「農民」2021.8.30付)
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