RCEPの影響試算を行え
愛知農民連が県要請
備蓄米を活用した食料支援を
愛知農民連は7月28日、大村秀章知事に対し、新型コロナ感染拡大の終息がみえないなかで家族農業を守り、食料を安定供給し、農家の経営とくらしを守る施策の充実を求めて要請しました。県内の農家8人が参加し、県農業水産局職員らと意見交換しました。
伊藤政志会長は、「自由化や多国籍企業による食料戦略はもう限界。家族農業を見直していくべきとき。農家と行政がともに手を組み、変えていかなければならない」とあいさつしました。
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県に農業施策の充実を求める伊藤会長 |
要請項目は、(1)県として、RCEP(アジア包括的経済連携協定)による影響試算を行う(2)米価下落対策として備蓄米を生活困窮者など食料支援で活用し、買い入れを増やす(3)家族農業を中心にした多様な農業を発展させる施策充実(4)共済制度への助成(5)種苗法のもとでも、県内登録品種は自家増殖の許諾を不要とする(6)虫害被害拡大の対策強化―の6点です。
田原市の農家(ミニトマト)は、RCEPによる影響について国も県も試算を行っておらず、大変危ぐしていると指摘。「コロナ禍で国産物の需要・価格減のなか、さらに安価な外国産が入ってきている。農業の機械化・大規模化を推進してきた結果、農業が続けられなくなっている。影響を試算し、必要な手立てを打ってほしい」と求めました。
備蓄米の食料支援などへの活用について、愛西市の農家(米)は、「世界中で備蓄食料を活用した食料支援が行われ、価格維持のために政府が買い入れを増やしている」と強調。職員は、「農水省は、米価維持のための備蓄米活用はしないとの方針。県内の生産量は、消費量の3割程度であり、別の方法で支援していきたい」と答えるにとどまりました。
また、種苗法に伴う愛知県の登録品種の許諾については「他機関との共同育成の品種もあり調整中ではあるが、生産者の負担にならないよう対応する」との回答でした。
(愛知農民連事務局長 本多正一)
(新聞「農民」2021.8.23付)
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