白色申告でも
収入保険に加入させよ
農民連が農水省に要請
凍霜害受けた農家への補償の拡充を
今年4月に発生した異常低温により、東日本を中心に全国の果樹栽培に深刻な凍霜害が出ている問題で、農民連と農民連ふるさとネットワークは7月30日、農水省に要請を行いました。
要請には、岩手、山形、福島、長野、奈良の農民連のほか、度重なる異常気象で6割もの減産が懸念される、高知・土佐文旦産直協同組合もオンラインで参加。果樹共済の掛け金補助や補償範囲の拡大のほか、収入保険の制度改善などを要求しました。
とくに収入保険をめぐっては、すべての参加者から白色申告での加入を認めるよう強く求める声が相次ぎましたが、農水省は「不正受給があった場合、青色申告であれば過去にさかのぼってチェックしやすい」などを理由に、拒否する姿勢に終始しました。
農水省のこの発言には、多くの参加者から「収支内訳書をきちんと添付し、税務署にも正式に受理されているというのに、白色申告だと不正しやすいかのような発言は、到底、認められない」との怒りの声が噴出。
福島県北農民連の服部崇事務局長は、果樹共済では被害にあっても共済金が支払われないケースも多く、近年は毎年、何らかの異常気象や災害があるなかで、収入保険に入りたいという農家が増えていること、しかし小規模農家の多くは白色申告で、「3年連続での青色申告」という加入条件が大きな障壁となっている、などの現場の実態を指摘。「産地の将来も危ういほどの大被害にあっている果樹農家を、農水省としてなんとかして救ってほしい」と、要望しました。
また、「せめて青色申告に転換する意思を示した農家は、すぐにでも収入保険に加入させてほしい」との声も相次ぎましたが、農水省は「3年たつまでは共済に加入してほしい」と、冷たく背を向けました。
農民連の笹渡義夫副会長は、「青色申告は大規模経営や法人経営に有利な申告制度で、白色申告を認めないということは、実態として収入保険から小規模農家を排除することになりかねない。家族農業を守る観点から、制度を見直してほしい」と重ねて要望。
農水省も、「同様の要望が他方面からも上がっているのは事実」と回答しました。
要請には日本共産党の紙智子参院議員が同席しました。
(新聞「農民」2021.8.23付)
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