「農民」記事データベース20210823-1469-02

コロナ禍でも連帯と絆強めよう

カタログ・産直、学給販売増
「こだわり米」も販路を拡大

農民連ふるさとネットが総会


 農民連ふるさとネットワークは7月29日、第18回総会をオンラインで開きました。51組織から100人以上が参加しました。

 農家経営支え、ネットワークを生かした支援活動さらに

 前半は、OKシードプロジェクトの印鑰智哉さんの講演。「農家の実践・知恵を科学的に証明すれば、すごい価値が詰まっている。アグロエコロジーとは、科学と農家の実践が対話し、その地域に合った農業のあり方をつくり、社会運動をつくっていくこと」だと学びました。

 総会では、根本敬代表が開会あいさつ。昨年7月に発表された「国連食料への権利に関する特別報告者の中間報告書」が、WTO(世界貿易機関)農業協定の段階的廃止、新たな国際的食料協定の交渉を提案していることを紹介。「これを実現し、アグロエコロジー、食糧主権の社会をつくるために組織あげて挑もう」と呼びかけました。

 あいさつした農民連の長谷川敏郎会長が、最新の農政モニター調査で、「菅農政を評価する」が1%しかないことを紹介し、「安倍・菅農政への大きな怒りだ」と指摘。「米危機打開に向けて全国で農協や自治体訪問、軽トラパレードなどに取り組み、総選挙では米問題を争点にたたかおう。国連『家族農業の10年』、アグロエコロジー、食糧主権の運動を三位一体で進め、大きく前進しよう」と訴えました。

 湯川喜朗事務局長が議案の報告を行い、過去最大の減反押し付けと米価暴落のなかで、準産直米の計画と産直・カタログ、学校給食などで販売増を達成したことを報告しました。

 コロナ禍のなかで活動が大きく制約されるもとで、農家経営を支えた持続化給付金の申請サポートや農民連食品分析センターと協力したネオニコフリー農産物、消費者に自信をもって提供できる生産への支援、フードバンク・子ども食堂などへの食料支援の取り組みなどを報告しました。

 運動と生産活動で米危機打開を

 10人が発言を行いました。

 深刻な低米価の問題で、北海道農民連の富沢修一書記長は、道内自治体で、のべ80市町村議会で下落対策を求める意見書が採択されたことを報告。食料支援でも4つの農協から700キロの米の支援を受け、フードバンクなどに提供していることを語りました。

 岩手県農民連の岡田現三事務局長は、県内の農協訪問を行い、怒りの声があがっていることを述べるとともに、生産面で低米価に対抗するために備蓄米や飼料用米の取り組みを紹介しました。

 新潟県農民連の佐藤恒夫さんは、米価が1俵あたり2000円も下がっている現状を述べ、6月に軽トラパレードを行い、8月中も宣伝を計画し、総選挙での野党連合政権実現で農政の転換をめざす決意を表明しました。

 食料支援のテーマでは、山形・庄内産直センターの小林隆範副組合長理事が、都内の保育園などに応援米を送り、給食などに使ってもらう取り組みを紹介し、「農家、学生を応援し、困難を乗り越えるきっかけにしたい」と述べました。

 コロナ禍のなかで、生産者と消費者と交流しながら困難を乗り越えている発言もありました。大阪産直センターの大坊幸事務局長は、新日本婦人の会会員との産直で、ユーチューブやDVDを使って学習会を開き、生産現場のリアルな現状を伝え、学び合っていることを報告しました。

 千葉・多古町旬の味産直センターの小林由紀夫常務理事は、生産現場のことを伝える新婦人とのオンライン田植えの取り組みを実際の映像を使って紹介しました。

 福島県農民連産直農協の佐々木健洋参事は、「支援だけでなく、生産の大変さも伝えることが大事」だと、大阪の新婦人や大学などへの食料支援で、小規模な学習会なども開催し、「困難を一緒に打開しよう」と呼びかけていることを述べました。

 高知・土佐文旦産直協同組合の西森幹展代表は、天候不順で文旦に被害が出ていることを映像で示しながら訴え、被害実態を新聞「農民」で紹介するなどして全国に発信できたことに感謝の意を表明し、「お客さんや仲間がいることでがんばれる」と述べました。

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被害を受けた文旦を示しながら報告する西森さん(高知)

 食料と農業を守るためにたたかおう

 新常任理事に渡辺満広、種石かおりの両氏(ふるさとネット)が、監事に長峰雅氏(茨城・鹿行産直センター)が信任されました。オリンピックを中止し、万全なコロナ対策をとるよう求める特別決議を採択しました。

 最後に、ふるさとネットの鈴木弥弘副代表が、「食料と農業を守るためにたたかい、ふるさとネットを発展させよう」と閉会あいさつを行いました。

(新聞「農民」2021.8.23付)
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2021年8月

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