このままでは米が作れない
政府の責任で買い上げろ
生産者米価 1俵9000円!
コロナ禍で生産者米価が大暴落
「米が動かず倉庫がいっぱいだ」「新米が入る余裕がない」。出来秋を迎えようといういま、産地から悲痛な声があがっています。
早場米地域では稲刈りがすでに始まりましたが、米価暴落に歯止めがかかりません。
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稲刈りが始まりました(宮崎県高鍋町) |
この米価では作り続けられぬ
米の需要減でふくれあがる在庫
コロナ禍の長期化により米の需給環境はさらに悪化しており、今年産の生産者米価は1俵9000円台と言われています。
現に、全中(全国農業協同組合中央会)は2022年6月末在庫が250万トンを超えると試算し、3年連続で米価暴落の危険があると警告しています。(グラフ(1))
政府は7月29日、21年6月末の米在庫予想を219万トンに修正しましたが、適正水準180万トンを大幅に上回っており、米価の下落は必至です。
ただちに過剰分数十万トンを政府が買い上げて隔離しなければ、大変な事態になります。
2019年の米づくりに必要な経費は1俵(60キロ)あたり1万5155円。そのうち機械や肥料、燃料費などの物財費だけで9180円。
「9000円米価」では、米の再生産はできず、大きな農家も小さな農家も米生産は続けられません。
多くの農家が米作りから撤退すれば、地域農業の崩壊と食料不足の事態を招きかねません。
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産地の低温倉庫に積み上がった20年産米 |
需要減・在庫増でも米輸入は減らさず
コロナ禍による需要の消失は、生産者には何の責任もありません。それにもかかわらず、菅政権は、史上最大の生産調整(減反)を生産者に押し付けるだけです。
その一方で、外米(ミニマムアクセス米)の輸入は聖域扱い。
需給が混乱している今こそ、不要な外米の輸入は縮小・中止すべきです。(グラフ(2))
大規模農家でもこの米価は厳しい
150haを耕作する稲作農家
染谷 茂さん(千葉県柏市)
今の低い生産者米価では、大規模な農家を含めて生産者には厳しい。資材や機械にかかるコストが高い一方で、コストに見合った価格で販売されなければ、米づくりをやめてしまう農家が増えるのは当然です。
いま、65歳以上の農家が7割を占めていますが、あと10年たったら、日本の農業は維持できるのでしょうか? 今でさえ低い食料自給率38%を維持できるのでしょうか?
米の在庫が積み上がる一方で、外国産米を減らさずに輸入し続けているのもおかしなことです。低米価は、日本の食料・農業をどうするのかに関わる大問題です。
(新聞「農民」2021.8.9付)
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