廃炉完了と費用優先の
海洋放出
原発なくす全国連絡会が
学習会
まずは汚染水の発生を止めよ
7月21日、原発をなくす全国連絡会は連続学習会をオンラインで開催し、約40人が参加、視聴しました。
講師は原子力資料情報室の松久保肇事務局長で、「ALPS処理水を考える」をテーマに講演しました。
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講演する松久保さん |
松久保さんは「トリチウムとは何か」から始まり、トリチウムは内部被ばくに警戒が必要なことや、人体への影響を解説。「経産省は『トリチウムによる体組織の損傷は、普通は修復される』ために『人体への影響は少ない』としているが、体内にあるトリチウムの形態によっては、局所的に強い被ばくを生むことがある」ことを指摘。生物濃縮についてもいくつかの論文が、報告していると紹介し、原子力業界が影響をわい小化しようとしてきたことを明らかにしました。
また、トリチウム除去技術には「研究途上」として検討しなかった一方、効果が疑問視されている「凍土遮水壁」には研究開発費用として多額の税金を投入しているなど、安価で安直な海洋放出ありきの姿勢を批判。
「トリチウム水増加の原因は、地下水の建屋内の流入と原子炉の冷却水」と指摘した松久保さんは、「まずは汚染水の発生自体を止めるべき」と提案しました。
発生したトリチウム水の処理についても、「陸上の敷地内にもまだまだ保管に使える土地はある。中間貯蔵施設が使えれば、ほぼ無限に対応できる」と指摘し、「2041〜51年の廃炉完了にこだわらず、トリチウムの線量が低くなるのを待って処理を検討すべきではないか」と話しました。
(新聞「農民」2021.8.9付)
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