「農民」記事データベース20210802-1467-08

土佐文旦が危機

異常気象で大打撃

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大型寒波で花芽つき悪く
日照不足で生理落果

 今年春先の異常低温により、桃、梨などの果樹産地での凍霜害が報じられている中で、ここ高知県土佐市でも、度重なる異常気象で、特産の土佐文旦(ぶんたん)が大減収となりそうです。

 昨年は8月の雨量が極端に少なく、冬も乾燥が激しく木の根が損傷しているところへ、今年1月には数十年ぶりの大寒波、2月も大雪となりました。こうした寒害続きで文旦の枝は枯れ、落葉して、果実の基となる花芽が極端に少ない春となりました。

 その後も、観測史上最速の梅雨入りとなり、花の交配作業の最盛期に雨が降り、ただでさえ数少ない花の花かけ(受粉作業)が十分にできませんでした。交配後も曇天続きで、少ない幼果がさらに激しい生理落果に見舞われ、かなり落ちてしまいました。

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摘果作業せずとも、生理落下で4つあった実が1つに

 土佐市では今年の文旦は6割減かそれ以上との声も聞かれるほどで、40数年ぶりの大不作が予想されています。しかしキツイ山での作業は豊作でも大不作でも変わりはありません。果実の少なさが相まって作業のキツさが例年の倍以上に感じられます。

 花の少なさと悪天候で不安いっぱいでも、たくさんのお客さんの皆さんのご愛顧の声を支えに、広い山の大きな文旦の木の枝をかきわけ、少ない花を最後の一つまで残らず探して、花かけをやり切ることができました。今は、焼けるような南国土佐の夏の太陽のもと、キツイ斜面の草刈り作業が続いています。「数少ない文旦の実を大切にしよう」と、生産者一丸となってがんばっています。

(高知・土佐文旦産直協同組合 西森幹展)


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三重県大台町 成田千恵子

(新聞「農民」2021.8.2付)
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2021年8月

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