「農民」記事データベース20210726-1466-01

米危機打開へ

農協訪問や自治体請願を全国で


総選挙で米価対策を
野党の共通政策に

 農民連は、昨年来、米危機打開(市場隔離とミニマムアクセス米輸入中止・削減)に向け、全国で食健連の仲間などとともに、農協や自治体への要請にも旺盛に取り組んできました。

 また、JA全中(全国農業協同組合中央会)や米穀業界(日本米穀商連合会、全国米穀販売事業共済協同組合)などとも懇談を重ね、政府に要求してきました。

 しかし、菅内閣は20〜21年産暴落にとどまらず、22年産にまで影響が出るにもかかわらず、隔離対策を拒否し、MA米には指一本触れません。

 農協訪問では農民連の要望に大きな賛同が寄せられ、議会請願でも保守系議員も巻き込んで全会一致で採択も進んでいます。米危機打開のたたたかいの広がりの前に、政府与党・自民党は、米価問題が秋に予定される総選挙の争点になることを恐れています。

 衆議院選挙に向けて、各地での農協・自治体訪問、政党・候補者への要請と請願署名の取り組みをさらに広げましょう。米価対策を野党の共通政策にし、野党連合政権の樹立で、農政の大転換を果たしましょう。


岩手
県内農協訪問し懇談

現場無視の需給対策だ
買い入れも含めて国は責任を果たせ
――組合長からも怒りの声続々

 「いつも来る集荷団体が21年産は集荷しないと言っている」…田んぼの状況はどこも順調ですが、米価・出荷先については厳しい見方が広がっています。

 岩手県農民連は県内の農協を訪問し、「新型コロナ禍による米価下落対策のための共同の申し入れ」を行っています。申し入れでは、過剰米について緊急買い入れや食料支援への活用をすること、外米輸入について数量を調整することを政府に求めることなど、共同を呼びかけています。

 焦点となるのは、積みあがる在庫。いずれの農協も新米が入る9月までには倉庫を空ける方向で努力していると言います。しかし、「前年同時期に比べても、10%出荷が落ちている」など、深刻な状況が続いています。

 需給対策についても不満が相次ぎました。政府は飼料用米をはじめ主食用米以外への変更を働きかけています。しかし、主食用米の産地としては物量がものをいう世界。主食用米を減らしてしまえば、出荷先からの信用もなくなってしまいかねません。それに、高齢化で担い手が不足しているもとで、米づくりを続けられるようにしないと、生産そのものが先細ってしまいます。岩手江刺農業協同組合の小川節男組合長は「米づくりがなくなることがないよう、国にもしっかり力を発揮してもらいたい」と語りました。

 農協も様々なルートで政策要望を上げていますが、政府は聞く耳を持ちません。集荷実績を語ると「売れない米をそんなに集めてどうするのか」と言われます。「野菜・果樹もありますよね」「信用・共済事業もありますよね」と、現場を無視した話をされると言います。

 花巻農業協同組合の伊藤清孝組合長も「緊急買い入れという提案もいただいたが、それも含めて国が責任を果たすことは大事」と強調しました。

 同趣旨の請願が7市町で採択

 県内ではこの申し入れと同趣旨の請願が7市町の6月議会で採択され、政府に意見書が送られています。久保田彰孝会長は「この秋の米価が、来年そして未来の米づくりの命運を左右する。誰もが危機感をもっているいま、現場の声をあげる共同を引き続き広げていきたい」と語っています。

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花巻農協の伊藤組合長(右)に要請書を手渡す久保田会長

(岩手県農民連事務局長 岡田現三)


北海道
30超の地方議会で意見書採択

ホクレン会長も「14年産より厳しい状況」
畑作、酪農など水田ない自治体でも

 北海道農民連は、6月の定例市町村議会で「米価下落の対策を求める意見書」の採択を求め、3月議会で採択されなかった道内140の市町村議会に要請し、7月14日現在で15の議会で農民連提案の意見書が採択されました。

 また、北海道農民連盟提案の意見書もあり、合わせて道内で30を超える議会で意見書が採択されており、国は民意に応えて「食料支援を行う」「国が余剰米を買い取る」「輸入米を減らす」など、早急に米価下落対策をとるべきです。

 消費者グループとの産直の予備の在庫米を売却した産直センターは、「20年産ゆめぴりか60キロが、1週間で1000円も下がり、9000円と言われている」と、悲鳴が上がっています。

 記者会見でホクレン会長は、「米価が暴落した14年産よりも販売環境が悪化することが懸念される」と、厳しい状況にあることを明らかにしました。14年は「売り先がない」と、13年産古米の買い取りが拒否され、「安くても米が売れない」という年でした。

 このような米の情勢で、酪農や漁業、畑作など水田がない町、村の議会でも、「大切な問題」「同じ1次産業として大変」などと意見書が採択されたことは大きな一歩といえます。

(北海道農民連書記長 富沢修一)


三重
県議会で意見書採択

自民議員も強力し全会派一致で

 三重農民連は、低米価に対して対策をとるように求める請願運動に取り組むことを5月度の役員会で協議し、県議会、津市議会、菰野(こもの)町議会に請願することとなりました。

 県議会では共産党の山本りか県議が各会派との仲介の労を取ってくださり、5月27日には各会派代表者に対し、請願趣旨を説明。請願文(案)には、(1)市場に米が滞留していて米価安になっている実情と将来見通しから、政府が需給調整をすべきことに加えて、(2)米の支給など困窮者の公的支援制度の創設や、(3)ミニマムアクセス米77万トンの輸入の見直し――の項目がありましたが、最終的には、(2)(3)を除くことで、自民党を含む全会派賛同となりました。

 共産党県議の話では、「修正に修正を重ね、各会派を8、9回も回った。自民党を含め各会派の中にも熱心にこの請願を会派のメンバーに取り次いだ議員もいて助かった」とのことでした。

 津市議会では紹介会派のみの賛成で否決されましたが、菰野町議会では継続審議となりました。

 倉庫がパンパン

 地元の農協でも話を聞いたところ、「荷が動かず倉庫がパンパンだ」という実情が聞けました。

 この過程で、低米価問題を特集している新聞「農民」を買い取って議員に提供しました。

(三重農民連事務局長 吉川重彦)

(新聞「農民」2021.7.26付)
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2021年7月

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