原発事故は最大・最悪の公害
公害総行動
環境大臣など各省庁に要請行動
原発・石炭火発から脱却し、
再エネ・省エネ社会実現を
「なくせ公害、守ろう地球環境」をスローガンに、公害被害者や公害裁判の弁護団、支援団体や市民などで毎年6月にとりくまれている「公害被害者総行動」が、今年も6月29、30の両日に行われ、小泉進次郎環境大臣のほか、内閣官房、経産省、環境省、原子力規制庁に要請しました。
折しも菅首相が「2030年度の温室効果ガス(GHG)の削減目標を46%(13年比)減とする」と4月に発表し、現在、政府内ではエネルギー基本計画の見直し作業と合わせて、目標達成のための具体な政策作りが進められています。
総行動実行委は各省庁に対し、「GHG削減目標を70%まで引き上げること」や、「目標達成は再エネと省エネの普及によって行い、原発はただちにゼロに、石炭火力は30年までにゼロにすること」、「原発事故の被害者の声に真摯(し)に向き合い、事故を引き起こした責任を明確にし、地域と住民に万全の再建措置を講じること」、「汚染水の海洋放出をしないこと」などを軸に、要請しました。
経済利益最優先では解決しない
環境省への要請(写真)では、正田寛(ゆたか)大臣官房長らが対応。津島原発訴訟(浪江町)原告で、福島県農民連の会員でもある馬場績(いさお)さんが、事故後10年たってもまったく帰還の見通しがたたない「帰還困難区域」の住民の困難な現状を述べ、現在の除染・復興政策にもっと住民意見を反映させるよう求めました。
温暖化政策について環境省は、再エネをより強力に推進していく方針を強調しつつ、同時にCCS(CO2を回収し地下深くに貯留する技術)といった実用化の困難な技術開発や、化石燃料を使って生産される水素やアンモニアの利用も進めていくと説明。また「脱炭素電源」として原発の再稼働も推進していく方向であることを明らかにしました。
福島原発なりわい訴訟原告団長の中島孝さんは、「原発政策も、温暖化政策も、経済利益と効率だけを求める現政権の政策では解決できない局面に今まさに直面している。環境省は地球環境の、私たちの命の守り手として、温暖化防止に原発や石炭が必要だなどと言っている経産省に立ち向かってほしい。国民も応援している」と訴えました。
また再エネ推進については、全国で建設が相次いでいる山林を伐採したメガソーラー開発をめぐって、建設前の環境影響調査の項目に、豪雨時に下流域に洪水被害を起こす影響予測が入っていないなどの問題点が参加者から指摘され、「異常気象が頻発し、今後さらに深刻化するなかで、再エネが自然破壊になる事例が増えるのではないか。今の再エネの法体系の見直しが急務だ」といった要望が出されました。
(新聞「農民」2021.7.12付)
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