世界は再エネ中心社会へ日本は安倍政権後、伸びが鈍化
原発をなくす全国連絡会が学習会原発をなくす全国連絡会は6月22日、東京都内で連続学習会を行いました。元日本環境学会会長で和歌山大学客員教授の和田武さんが、「世界のエネルギー転換の最新動向と日本の課題〜カーボンニュートラルに向けたエネルギー利用を考える〜」と題して講演を行いオンライン中心に約40人が参加しました、和田さんは地球温暖化の現状について、「このままでは壊滅的な環境破壊が起きてしまう。まさに『待ったなし』の危機的状況にあり、時間がない」と指摘。国際的には再生可能エネルギーの導入が進んでおり、100%目標を掲げる国も多く、近年は発展途上国での再エネの普及が先進国を超える勢いで進んでいることを紹介しました。 普及の要因として和田さんは(1)導入コストが火力や原子力よりも安価に(2)市民・地域主体の再エネ普及で地域の自立的発展が進む(3)IRENA(国際再生可能エネルギー機関)の設立で途上国での普及支援を推進――などを挙げ、「2020年は史上最高の再エネの普及実績を記録した。特に電力分野での推進が進んでいる」と話しました。 一方、日本は「民主党政権時の固定価格買取制度(FIT)の導入後は伸びていたが、安倍政権成立後に鈍化したのが現状」と指摘。海外との最大の違いとして「海外は再エネを優先的に使用する政策となっているが、日本は逆。電気が余剰の時は再エネを抑制している(図)」と、政策の違いを上げました。
またFIT価格設定についても、「海外では、小規模発電所ほど買取価格を高くすることで小さな地域主体の取り組みを支援している。日本では規模別の買取価格はごく一部しかなく、大企業の大規模発電が有利となり、地域で軋轢(あつれき)も生んでいる」と指摘。「しかも22年からの見直しは小規模発電のコストを増やし普及を妨げるものになっている。こうした問題は原発をベースロード電源として優先させ、再稼働に固執することに起因している」と批判しました。 「再エネは天候や時間で変動するが、100%切り替えは可能なのか」との質問に対し、和田さんは「大容量バッテリーや揚水発電の活用、送電網の系統連絡線の強化などを行なえば十分可能」との見かたを示しました。
(新聞「農民」2021.7.5付)
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[2021年7月]
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