「農民」記事データベース20210614-1460-12

旬の味


 当地も田植えが終わり一面の湖のような美しい光景が広がっている。だが目を凝らして見るとそうとばかりも言っていられないことばかりである▼有数の穀倉地帯であったにも関わらず、米価は暴落し続け、「こんなんじゃ、米作りする気もなくなっちまうよな」との言葉。稲作に愛情を持てない農政下では、生態系に迷惑をかけず環境と共生するアグロエコロジーを希求することもハードルが高い▼この地で農民として生かされて40年。当時は熱き思いで作物と向き合っていたように思う。農政に翻弄され愛情を持つゆとりも失わされ、畦は除草剤処理に変わった▼田植え後の田面には被覆肥料のカプセル。更にネオニコチノイド農薬でトンボも飛ばない。「稲の声を聞くことができて一人前」とはかつて耳にした言葉▼“百姓仕事の相手は生きものである。そしてその生きものの命を頂く。命を引き継ぐために種をとる”と言う方がいるが、その思いの実現を求めて奮闘されている方々に背中を押されている日々である。

(蛙)

(新聞「農民」2021.6.14付)
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2021年6月

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